多彩なプログラムを名手たちとの共演で
多彩な活躍で人気を集め、今年デビュー15周年を迎えたヴァイオリニストの奥村愛が、2018年の2月に2日間連続でスペシャル公演を開催する。先ず1日目はウィーンで研鑽を積み、世界の名だたるスタープレイヤーたちと共演を重ねているピアニスト、三輪郁との名曲プログラムを予定。
「三輪さんは繊細さとパワフルさを兼ね備えた演奏家で、さり気なく支えてくれていたかと思うと、時にはしっかりと引っ張ってくれます。頼れるお姉さんといった感じで大好きな方です。また共演できることが凄く楽しみです」
前半はバッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番」やモーツァルト「ソナタ K.378」など、古典ものを用意。
「ロマン派と比べると音数も少なくシンプルなだけに、一つひとつの音を疎かにできません。どれだけ弾き込んでも、やはり本番は緊張しますね。私はちょっと脳天気な性格なので、前半から気を引き締める意味でもぴったりかもしれません(笑)」
後半はフランスもの。フォーレ初期の代表作である第1番ソナタに、ヴュータンのバラードとポロネーズ。
「フォーレは高校時代も好きでしたが、昨年くらいから頻繁に演奏するようになって、あらためてその魅力を再確認しました。哀愁があり情熱的なヴュータン作品にもヴァイオリン弾き作曲家ならではのツボがあります」
2日目は彼女が信頼するストリングス・メンバーと贈る、これまたバラエティに富んだプログラム。
「私を入れて総勢10名。みんな大らかな性格で本当に仲が良いのです。前半だけでバッハ『ヴァイオリン協奏曲 イ短調』から、民族色の濃いジプシーメドレーまで一気に飛躍できるのも、団結力のなせる技かもしれません」
後半はジャズ・ギター界のレジェンド、渡辺香津美を特別ゲストに迎えてゴージャスな大人の雰囲気を演出。
「昨年、京都・上賀茂神社で行ったストリングスとの共演による『都のかなでコンサート』に出ていただいたのが最初のご縁です。今年は渡辺さんの最新アルバム『TOKYO WANDERER』にも私たちが全面的に参加させていただきました。今回はそのアルバム収録曲を中心にとりあげます。ジョー・ザヴィヌル〈バードランド〉やチック・コリア〈スペイン〉から谷川公子さん書き下ろしの〈フラメンコ・レッド〉まで、クラシック曲とはひと味違うジャジーな弦の響きが満載です」
会場は彼女のファンにはお馴染みの浜離宮朝日ホール。節目の年に相応しい魅惑の2daysになりそうだ。
「盛り沢山の企画ですが、共演者の皆さんの助けがあるので大丈夫そう。どちらもお楽しみに!」
取材・文:東端哲也
(ぶらあぼ2018年1月号より)
デビュー15周年記念 奥村 愛 2DAYS スペシャル
Day 1 リサイタル ピアノ:三輪 郁 2018.2/3(土)17:00
Day 2 with ストリングス feat.渡辺香津美 2018.2/4(日)14:00
浜離宮朝日ホール
問:東京音協03-5774-3030
http://t-onkyo.co.jp/