リスナーを虜にする抒情性と超絶技巧
ロシア生まれのアンナ・ヴィニツカヤは、2007年に圧倒的な評価を得てエリーザベト王妃国際音楽コンクールで優勝し、翌年にはクラシック音楽界で目覚ましい活躍をした若手音楽家に贈られる「レナード・バーンスタイン賞」を受賞したピアニストである。ドイツを拠点に世界的な演奏活動を展開しており、来日も多く、多彩なレパートリーを自在に弾きこなす技巧、スケールの大きい音楽性によって多くの人々を魅了してきた。
現在ハンブルク音楽演劇大学で教授として後進の指導にもあたるなど一層活動の幅を広げている彼女は、世界的奏者が出演しているベルリン・フィルハーモニーのカンマームジークザールにおいて、17年10月にリサイタルを開催し、「度肝を抜かれた」という評を得るほどの存在感を示した。
そんな彼女が2月にサントリーホールでリサイタルを開催する。しかもプログラムは大好評を得たベルリン・フィルハーモニーでの公演と同じもので、プロコフィエフ「ピアノ・ソナタ第4番」、ドビュッシー「前奏曲集」からの抜粋に「喜びの島」、さらにショパン「24の前奏曲」となっている。
どの曲も高度な技巧が凝らされた難曲であり、特にショパンは次々とあらゆる心情や情景を描き分ける描写力も求められる。ヴィニツカヤの圧倒的なピアニズムを余すことなく堪能できる公演になることであろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2018年1月号より)
2018.2/2(金)19:00 サントリーホール
問:コンサートイマジン03-3235-3777
http://www.concert.co.jp/