今年創立275周年をむかえる世界最古のオーケストラ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が、ワールドツアーの一環で、名誉カペルマイスターのヘルベルト・ブロムシュテットと日本公演を行っている。13日まで。
公演の合間をぬって、10日、同団総支配人のアンドレアス・シュルツとともにヘルベルト・ブロムシュテットが記者との懇談に応じた。
(2017.11.10 都内 Photo:M.Terashi/TokyoMDE)
同団の22回目の日本公演となる今回は、創立275周年とともにブロムシュテットの90歳を祝う特別なもの。同団が世界初演した作品を集めているのが特徴だ。(ワールドツアーすべてで同様のプログラムが組まれ、ロンドン、パリ、ルクセンブルクではベートーヴェンの三重協奏曲(1808年2月18日に同団が世界初演)も演奏された)
●ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の世界初演
1839年3月21日:シューベルト: 交響曲第8番「ザ・グレート」(11/11に演奏)
1845年3月13日:メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲(11/12に演奏)
1869年2月18日:ブラームス: ドイツ・レクイエム(11/13に演奏。NHK音楽祭)
1879年1月1日:ブラームス: ヴァイオリン協奏曲 (11/11に演奏)
1884年12月30日:ブルックナー: 交響曲第7番(11/12に演奏)
10月22日、ロンドンのバービカン・センターから始まったツアーでは4週間にわたり計17回の公演が行われる(うち日本公演は5回)。これについて総支配人のシュルツは「長いツアーで、ほんとうにたいへん」とブロムシュテットをねぎらいながら「稽古でマエストロはいつでも必ず、笑顔でステージに現れます。そして、ほんの少しの重要なことを示して、集中してリハーサルをし、最後に『じゃあ本番でいい仕事をしましょう』と言い残して去る。マエストロとオーケストラのメンバーがお互いに力を出し合って200%の力で演奏できています」と自信のほどをのぞかせた。
ブロムシュテットは、今回演奏する作品について、ときに交響曲の一節を口ずさみながらこまかく解説。演奏作品がすべて世界初演をしたものであることに触れ「毎回指揮する度に感じることですが、世界初演をしたから、というわけでなく、これらの作品がこのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団というオーケストラの音楽家たちの“心の音楽”だと感じるのです。音楽そのもの、魂を奏でている」と賞賛した。
そしてまた、同団の特徴として他のオーケストラとの違いを「毎週日曜日に聖トーマス教会でバッハを演奏していること」とし「すべての音楽家がバッハを演奏し、日頃からバッハに向き合っていると思うが、ここのオーケストラはまさに、バッハに仕えているのです」
今年90歳と、世界の指揮者陣のなかでも最長老のひとりとなったブロムシュテット。健康の秘訣を聞かれると「答えはありません(笑)」と笑いを誘い「ひとつあげるとすれば、神様からの贈り物ですね」と謙虚さを忘れずに、しかし「言えることは、仕事はやりすぎない。どこでやめるかを自分自身知っておくこと。定期的な休養が大事。自然に触れ、リラックスすること」などをあげた。
2018年には新たにアンドリス・ネルソンスを楽長(カペルマイスター)に迎えるが、ブロムシュテットは「彼がカペルマイスターになるのはとてもいいこと。すばらしい指揮者です。新しい音を引き出す力強い指揮者」とコメントした。
■ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 2017年11月来日ツアー
●11月7日(火) 19:00 札幌/札幌コンサートホールKitara 大ホール【プログラムC】
●11月9日(木) 19:00 横浜/横浜みなとみらいホール 大ホール【プログラムB】
●11月11日(土) 15:00 東京/サントリーホール【プログラムB】
●11月12日(日) 15:00 東京/サントリーホール【プログラムC】
問:カジモト・イープラス 0570-06-9960
http://www.kajimotomusic.com/
●11月13日(月) 19:00 東京/NHKホール【プログラムA】(NHK音楽祭2017)
問:NHKプロモーション 03-3468-7736
https://www.nhk-p.co.jp/
〈楽団創立275年記念・初演作品によるプログラム〉
【プログラムA】
ブラームス:ドイツ・レクイエム op.45
(ソプラノ:クリスティーナ・ランドジャーマー、バリトン:ミヒャエル・ナジ、合唱: ウィーン楽友協会合唱団)
【プログラムB】
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77 (ヴァイオリン: レオニダス・カヴァコス)
***
シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D944 「ザ・グレイト」
【プログラムC】
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64 (ヴァイオリン: レオニダス・カヴァコス)
***
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調(ノーヴァク版)