ピアニスト、ピョートル・アンデルシェフスキが会見

ピアニスト、ピョートル・アンデルシェフスキが、来年3月に予定されている来日公演に向けて都内でメディア向け懇談会を行い、あわせて、初監督となった映像作品が上映された。

ピョートル・アンデルシェフスキ
(2017.10/2 すみだトリフォニーホール Photo:I.Sugimura/Tokyo MDE)

アンデルシェフスキが自ら監督・撮影を務めた映像作品『私の名はワルシャワ(Warsaw is my name)』は、ナレーションはなく、ワルシャワの風景と音楽だけで綴られる。最初にランダムに映像を撮影し、編集段階で過去のCDの中から映像に合う曲を選んだという。ショパンのマズルカのほか、シマノフスキ、ウェーベルンなどの作品が使われている。
「出身地であるワルシャワは、私自身、感情的に強いつながりをもっている地です。ワルシャワは、第2次世界大戦で特異な歴史を辿ってきました。ヒトラーによって完全に焼き尽くされましたが、街は今も存在している。ある意味、奇跡のように生まれ変わった街。そこで人は生まれ、働き、生活をして、そして死んでゆく。人生とはそういうもの。日常生活の中で過去の歴史は埋没してしまう。しかし、それを忘れてはいけないのではないかと私は強く思っています。この映像は、そうした私のこの街に対する想い、個人的な感情、瞑想を詩的な形で表現した心象風景のようなものです」
映像を撮ることで、「自分自身がどこから来たのか? 自分は何者なのか?」という自身への問いかけに対する理解を深めることにもなったと語る。
『私の名はワルシャワ』は、モーツァルトやシューマンの幻想曲などを収録した最新CD『ファンタジー』の付録DVD(輸入盤のみ)に収められている。

来年3月の来日では、オール・バッハ・プログラム(2018.3/17 すみだトリフォニーホール)とシューマン、モーツァルト、ヤナーチェク、ショパンの作品を並べたプログラム(2018.3/18 ヤマハホール)の2公演が予定されている。すみだトリフォニーホールでは、当初、バッハのほか、モーツァルトやシューマンを含むプログラムと発表されていたが、変更されることになった。
「生演奏においては、その瞬間が生き生きと息づいていなければなりません。だからこそ私には、公演の日が迫ってからプログラムを決定できる環境がきわめて重要です」
バッハ・プロは、世界各地の公演で演奏し、CD録音もある「イギリス組曲第3番・第6番」に加え、「平均律クラヴィーア曲集第2巻」より6曲が予定されている。
「『イギリス組曲』は以前からよく弾いていますが、『平均律クラヴィーア曲集』の前奏曲とフーガは、いつか演奏したいと思って、課題としてずっと取り組んできました。すべての音楽の基本にある作品で、どんどん突き詰めていくと、他の曲は演奏する意味がないのではないかと思ってしまうくらい、私はこの作品に意義を見出しているので、演奏するのは怖いのですが、ついに皆さまの前で演奏する時期が来たと思っています」
40代後半を迎えた彼が、長い時間をかけて準備してきたというバッハ作品において、どんな境地を聴かせるのか、期待が高まる。

【公演情報】
ピョートル・アンデルシェフスキ ピアノ・リサイタル

2018.3/17(土)18:00 すみだトリフォニーホール
問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212
http://www.triphony.com/concert/detail/2016-11-001228.html
2018.3/18(日)14:00 ヤマハホール
問 ヤマハ銀座ビルインフォメーション03-3572-3171
http://www.yamahaginza.com/hall/event/002548/

【CD】
『Fantaisies/ファンタジー〜モーツァルト&シューマン』

ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13665 ¥2600+税
※付録DVDは輸入盤のみ