山田和樹が読響の首席客演指揮者に就任

 読売日本交響楽団は、9月14日に都内で会見を開き、2018年度シーズンより山田和樹が首席客演指揮者に就任することを発表した。任期は18年4月から21年3月末までの3年間。これにより同楽団の指揮者は、常任指揮者のシルヴァン・カンブルラン、今年の4月に首席客演指揮者に就任したコルネリウス・マイスター、そして山田和樹が加わった“3人体制”が敷かれることになった。首席客演指揮者の2人は年間2週間程度の間に集中的に演奏を行う。
(2017.9/14 東京芸術劇場 Photo:I.Sugimura/Tokyo MDE)

会見から 左より)津村 浩(読売日本交響楽団事務局長)、山田和樹、コルネリウス・マイスター(以上、同首席客演指揮者)

 会見には同楽団の津村浩事務局長、山田和樹、そして、この9月16日から18日に同ポスト就任後初の公演を控えているコルネリウス・マイスターが登壇した。新体制について津村事務局長は「首席客演指揮者を2人置くオーケストラは国内でも余り例をみません。読響は山田さんとマイスターさん共に、21世紀を背負う才能に期待し、個性的で積極的な活動を目指したい。山田さんは正式に就任するのは18年ですが、今年も11月に日生劇場でオペラ《ルサルカ》、12月には仙台フィルハーモニー管弦楽団との合同演奏となる『第九』で共演しますので、ぜひ聴いて欲しいですね。マイスターさんはドイツ・オーストリアの音楽を中心に指揮してもらいます。シュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督就任も控えており、コンサートとオペラの両輪でその活力を読響で展開し、新風を吹きこんでほしい」と語った。
 さらに、カンブルランついては「第9代常任指揮者として最後のシーズン。集大成となる力の入ったプログラムをお届けします」と述べた。

 09年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝後、スイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者に就任、現在はモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督、日本フィルハーモニー交響楽団の正指揮者を務めるなど、新世代のホープとして国際的に活躍する山田はこの新しいポスト就任に関して次の通り喜びを語った。
「読響を初めて指揮したのは2011年のこと。読響は、学生時代からリハーサルを見学しに読売ランドまで通っていた思い出深いオーケストラです。そんな自分が読響の指揮台に立つことができて本当に名誉なことと感じました。プレッシャーはありましたがオーケストラが受け止めてくれたんです。その後、井上道義さんの代役でも振らせてもらう機会もありまして、計4回の指揮だけで、しかも私の年代で首席客演指揮者という重要なポストへの就任は光栄だと感じています」
 その山田から見た読響の魅力とは。
「まず“パワフル”なオーケストラということ。ヨーロッパの楽団に負けないパワーを備えていますね。そして低弦の響き。これもヨーロッパの楽団でもなかなか聞けないサウンドです」

山田和樹

 就任後に初めて指揮するのは19年の1月で、就任披露に相応しい意欲的な選曲が成されている。まず〈名曲シリーズ〉ではサン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」、レスピーギ「ローマの祭り」ほか(1/8)。次に〈土日マチネー〉のラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」、同ピアノ協奏曲(独奏:ホアキン・アチュカロ)、R=コルサコフ「シェエラザード」(1/12、1/13)、そして〈定期演奏会〉は諸井三郎「交響的断章」、藤倉大「ピアノ協奏曲第3番」(共同委嘱、日本初演/独奏:小菅優)、ワーグナー《パルジファル》第1幕への前奏曲、スクリャービン:交響曲「法悦の詩」(1/18)。
「2週間で3プログラムを組まなくてはなりません。企画力が鍛えられますね。最初のサン=サーンスやレスピーギは言わば“祝祭プロ”。次の『シェエラザード』は日本のオーケストラでぜひ取り上げたかった曲で実現できて嬉しい。ラヴェルはオーケストラの色合いが出せればと思う。これは“色彩プロ”。3つ目は、私は日本人なので、日本の作品を入れることにしました。ワーグナーやスクリャービンと合わせて“法悦プロ”としてお聴かせします。現代曲は積極的に演奏したいと考えていますが、あくまで作品を“吟味”したうえで取り上げたい。オペラを演奏会形式で上演したい願望もありますが、基本的に日本人の歌手を積極的に起用し、日本人の表現力を世界に問いたいと思っています。これからの3年間、プレッシャーは大きいけれど、東京の音楽シーンを盛り上げて世界に向けて発信してしたい。日本フィルとの色合いの違いも出していければと思っています」

コルネリウス・マイスター

 一方、首席指揮者に就任しているドイツ出身のコルネリウス・マイスターだが、来年の予定が発表されている。後期ロマン派中心のプログラムが組まれているのが大きな特長だ。〈定期公演〉ではR.シュトラウス「ドン・キホーテ」(独奏:石坂団十郎、柳瀬省太)、同《影のない女》による交響的幻想曲などオール・シュトラウスプロ(6/19)。次に〈みなとみらいシリーズ〉は「ブルッフ「スコットランド幻想曲」(独奏:長原幸太)、ドヴォルザーク:交響曲第8番ほか(6/23)。そして〈名曲シリーズ/大阪定期〉はマーラー:交響曲第2番「復活」(独唱:ニコール・カベル、アン・ハレンベリ/合唱:新国立劇場合唱団)(6/28、6/29)が取り上げられる。
 「これからは、シュトゥットガルト、METのあるニューヨーク、東京の3都市を拠点に活動することになり楽しみです。マーラーの交響曲は全曲演奏したいと考えています」と抱負を述べたあと、読響の印象について「音楽家は単に音楽を奏でるのでなく、人間性や感情を捉えることが重要。音楽を正確に演奏する団体は沢山ありますが、読響のように音楽の本質に迫ることのできるオーケストラは少ない。ヨーロッパでは読響はアジアの中で最も優れたオーケストラと称賛されているんですよ」と高く評価する。さらに「山田和樹さんと共に素晴らしいチームを組んで、質の高い音楽をお届けできると思う」と頼もしいコメントを残してくれた。

左より:山田和樹、コルネリウス・マイスター

読売日本交響楽団
http://yomikyo.or.jp/