大野和士(指揮) 東京都交響楽団

最高峰の合唱団も参加する「天地創造」への期待


 今年は、ハイドンの傑作オラトリオ「天地創造」の“当たり年”だ。6月にも鈴木秀美指揮新日本フィル(合唱はコーロ・リベロ・クラシコ・アウメンタート)で演奏されたばかりだし、この9月には高関健指揮東京シティ・フィル(8日)と大野和士&都響の公演(10日,11日)と集中的に行われる。さまざまな独自のハイドンの名演が聴けるのはファンとしては大歓迎だ。
 さて、大野の振る「天地創造」だが、目玉は何といっても合唱大国スウェーデンの誇る、スウェーデン放送合唱団の参加だろう。1925年に創設され、52年に首席指揮者となったエリック・エリクソンのもとで著しい進化を遂げ、アバド&ベルリン・フィルのレコーディングにもしばしば招かれるなど、世界最高峰の実力派集団としての名声を高めた。来日公演でも2015年10月の都響と共演したモーツァルト「レクイエム」での名演は記憶に新しい。今回のハイドンでは、ソロに林正子、吉田浩之など日本を代表する名歌手のほか、ドイツ・リート界の大物、ディートリヒ・ヘンシェルも招かれているのが嬉しい。
 「天地創造」は言うまでもなく、旧約聖書の「創世記」とミルトンの「失楽園」(アダムとイヴの物語)の世界を、ハイドンがオラトリオの形式で表現した一大スペクタクル。管弦楽による描写音楽もふんだんに織り込まれており、こうした部分でも大野の手腕が光ることだろう。卓越した合唱団と名歌手たちを得て、この晩年の大作をどう表現しきるのか興味は尽きない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2017年8月号より)

第839回 定期演奏会Cシリーズ 2017.9/10(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
第840回 定期演奏会Bシリーズ 2017.9/11(月)19:00 サントリーホール
問:都響ガイド03-3822-0727 
http://www.tmso.or.jp/

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