新作から「千人の交響曲」まで多彩で意欲的なステージ
熊本県最大規模の文化の祭典『熊本県芸術文化祭』が、今年も8月から12月にかけて開催される。その幕開けを飾る「オープニングステージ」は、「芸術を高め、文化を広め、次世代へつなぐ」という同文化祭のコンセプトを具現化するものと位置づけられ、2015年からは指揮者の山田和樹を同ステージ芸術監督として迎え、毎回ユニークな企画で、音楽の新たな可能性を追求し続けている。今年は「新・オーケストラ」をテーマに、山田が音楽監督を務める横浜シンフォニエッタが参加、さらに地元の演奏家で特別編成された芸文祭オーケストラほか、様々な形態のオーケストラ演奏で8作品が披露される。
今回の注目は、なんといっても、マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」より第1部が演奏されることだろう。前記2団体の合同オケに、九響合唱団と一般公募による芸文祭合唱団、ソリストには熊本県出身の佐々木典子をはじめ日本トップクラスの歌手が揃い、きわめて壮麗な舞台になる。もちろん、6月に日本フィルとのマーラー・ツィクルスを完遂したばかりの山田による「千人」、という観点からも期待は大きい。
そのほか、平成音楽大学学長の出田敬三の新作マリンバ協奏曲(独奏:出田りあ)や、日本舞踊と芸文祭オーケストラのコラボレーションによるラヴェル「ダフニスとクロエ」第2組曲、さらに県内のこどもたちのオーケストラも3曲披露。アマチュア団体との共演を大切にし続けている山田のもと、音楽の喜びと熱気あふれるステージになるはずだ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ 2017年8月号から)
2017.8/27(日)15:00 熊本県立劇場コンサートホール
問:熊本県立劇場096-363-2233
http://www.kengeki.or.jp/