ジャン=エフラム・バヴゼ ピアノ・リサイタル

 1980年代の終わりから90年代にかけ、国際コンクールの取材を数多く行っていたころ聴いた若きピアニストが、いまや中堅からベテランの域に達し、国際舞台で輝かしい活躍している姿を見るのはとてもうれしい。
 そのひとりが、フランス出身のジャン=エフラム・バヴゼである。「ゲオルク・ショルティが発掘した最後の逸材」と称される彼の演奏は、当時からみずみずしい生命力と色彩感に富み、特有の“風”のような爽快感を感じさせたものだ。
 バヴゼは1962年、フランスのラニョン生まれ。パリ音楽院で名教師といわれたピエール・サンカンに師事している。1986年にはケルンのベートーヴェン国際ピアノ・コンクールで優勝の栄冠に輝いている。
 その後、レコーディングも積極的に行うようになり、ドビュッシーのピアノ作品全集、バルトークのピアノ協奏曲集、プロコフィエフのピアノ協奏曲全集などの代表作があり、現在はハイドンとベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の録音が進行中である。
 そのバヴゼがドビュッシー、ラヴェルを縦軸に、ハイドンを横軸に組んだこだわりのプログラムでリサイタルを行う。バヴゼのピアノは、フランス作品の構成感と表現力とリズムの多様性が特徴で、母国語で語る自然 のような感覚が各々の音に宿り、香り高き音色と舞踊に根差す躍動感に満ちたリズム表現が際立つ。
 それを今回はヤマハCFXの響きに託す。聴き手はしばし日常を離脱し、独特の“風”を全身にまとい、幻想の世界へといざなわれるに違いない。
文:伊熊よし子

(C) Paul Mitchell

【浜離宮ランチタイムコンサートvol.162】
ジャン=エフラム・バヴゼ ピアノ・リサイタル

2017年7月11日(火) 11:30 浜離宮朝日ホール

●曲目:
ハイドン:ソナタ第31番 変イ長調 HOB XVI: 46
ドビュッシー:ハイドンをたたえて、月の光、スティリー風タランテラ(舞曲)
ラヴェル:ハイドンの名によるメヌエット、鏡(蛾、悲しい鳥たち、海原の小舟、道化師の朝の歌、鐘の谷)※全曲演奏
ドビュッシー:喜びの島

●料金:全席指定¥2,900

●問:朝日ホール・チケットセンター(日・祝除く10:00〜18:00)
TEL:03-3267-9990
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/

●ジャン=エフラム・バヴゼから、公演に向けてのメッセージ
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/topics/2017/05/post-77.html