百鬼オペラ『羅生門』

芥川の人生と世界観をイスラエルの鬼才が舞台化

左より:吉沢 亮、柄本 佑、満島ひかり ©奥山由之

 インバル・ピント&アブシャロム・ポラックはイスラエルを拠点に活動し、世界中でも大人気の振付家・演出家である。日本で共同制作した大ヒットミュージカル『100万回生きたねこ』の演出でダンス以外にもファン層を拡げた。
 そんな彼らが、なんと芥川龍之介に挑むという。『羅生門』『藪の中』を中心に『河童』『鼻』『蜘蛛の糸』といった作品や、芥川自身の人生までも一つの作品に編んでいくのだそうだ。しかも日本が誇る様々な「Yokai=妖怪」を取りこんだキャラクターが登場する。そこでタイトルが「百鬼オペラ」となっているのである。
 主演は、すでに十分なモノノケっぽさ&知的な面も併せ持つ柄本佑、『100万回〜』の初演時にインバル達の世界に住まう演技を見せた満島ひかり。そしてダンサー陣にはインバルの独特なスタイルの魅力を踊りこなせる贅沢なメンツが揃えられた。音楽も共演経験のある阿部海太郎。ミュージシャン達も舞台上を歩き回る予定だという。
 時を超えて愛され、親しみやすくも深い哲学的な示唆に富んでいる芥川作品が、イスラエルの特異な才能と出会い、どう立ちあがるか、楽しみである。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

9/8(金)〜9/25(月) Bunkamura シアターコクーン 
5/27(土)発売
*兵庫、静岡、名古屋公演あり
問 ホリプロチケットセンター03-3490-4949 
http://hpot.jp/stage/rashomon/