オーケストラの実演と高画質で蘇るチャップリンの名画
昨年5月、チャップリンの代表作『モダン・タイムス』の高画質デジタル修復版を、すみだトリフォニーホールの巨大スクリーンで新日本フィルの生演奏付きで完全シンクロ上映し、大好評を博した『新日本フィルの生オケ・シネマ』。この第2弾が今年も5月に開催される。
選ばれたのは米国で1931年1月に初公開された(※日本公開は34年1月)『街の灯』。10代の頃からヴァイオリンやチェロの演奏を得意としたチャップリンが、初めて全編の音楽を手掛けて作曲家としての才能を開花させた記念すべき作品だ。
物語は盲目の花売り娘(ヴァージニア・チェリル)に恋をした浮浪者チャーリー(チャールズ・チャップリン)が大富豪を装い、彼女の滞納した家賃と視力回復の手術代を稼ぐためにボクシングの八百長試合に挑む…というものだが、今回もチャップリン音楽の世界的権威として知られるティモシー・ブロックが2004年に復元したスコア(サントラ録音に使用された楽譜)を新日本フィルがブロック自身の指揮で生演奏。主人公のパントマイムに寄り添う絶妙な伴奏から大爆笑の音楽ギャグ、可憐なヒロインのテーマまで、製作当時は録音技術が未熟で再現不可能だったサウンドが時を超え、チャップリンが思い描いた通りのかたちで同ホールに甦る。もちろん映像も2Kデジタル・リマスター版と抜かりない。
上映の2週間前には映画と音楽の魅力を徹底解剖するトークイベント(有料/予約制)も開催。こちらも併せてぜひ!
文:東端哲也
(ぶらあぼ 2017年5月号から)
新日本フィルの生オケ・シネマ Vol.2 『街の灯』
5/27(土)13:00 17:00 すみだトリフォニーホール
公演記念トークイベント【出演:前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)】
5/13(土)14:00 すみだトリフォニーホール練習室
問:トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212
http://www.triphony.com/