第9回大阪国際室内楽コンクール&フェスタが開催

 室内楽に取り組む優秀な音楽家を世界に広く求め、国際音楽コンクール世界連盟の基準に基づき優れた演奏を顕彰し人材を育成する「大阪国際室内楽コンクール」(3年ごとに開催)が5月13日から大阪・いずみホールで開催される。あわせて、年齢制限や課題曲がなく世界各国の民族音楽のアンサンブルも対象となる「大阪国際室内楽フェスタ」も同時開催される。去る3月8日、開催記者会見が行われた。
(Photo:M.Terashi/TokyoMDE)

前列左より)梅本俊和(フェスタ審査員長)、森詳介(会長)、堤剛(審査委員長)
後列左より)牧野立太(運営委員長)、望月規夫(副会長)

 コンクールでは、今年、第1部門の弦楽四重奏に加え第2部門として管楽アンサンブル(木管五重奏、サクソフォン四重奏、金管五重奏)が審査対象となる。世界21ヶ国・地域から92団体(第1部門:21団体、第2部門:71団体)の応募があり予備審査を通過した20団体が1次予選に参加する。
 本大会から3次予選が加えられたが、これについて牧野立太・運営委員長は「参加団体のレベルが毎回向上しているのに加え、国際コンクールの趨勢として、第3次予選プラス本選という流れができている」と説明したのに加え、堤剛・審査委員長は次のように述べた。

「全世界的に室内楽の活動が盛んになってきており、優れた演奏団体が誕生するなど、関心が高くなっているなかで、『大阪国際室内楽コンクール』に出るというだけでもたいへんなこと。コンクールを受ける団体はみな、これにすべてをかけてやってきている。室内楽作品数が多いのも特徴的で、できるだけ多くの団体に多くのレパートリーを披露してもらい、それぞれの団体のもつ魅力を存分に発揮してもらいたいという思いもある」

堤剛・審査委員長

 また、第2部門への応募が多かったことについて牧野は「世界的な管楽器奏者が審査委員を務め、また、国際的な管楽アンサンブルのコンクールが少ないことが要因にあげられる。再挑戦も多く、厳しい予備審査だった」と振り返る。

 フェスタは2名から6名までの編成で、年齢制限はなく、楽器編成は自由。各国の伝統音楽、民族音楽の楽器を使用する団体も参加可能で、一般審査員による聴衆審査を最大の特徴とする、世界的にもユニークなコンクールとして知られる。今回は147団体の応募があり、18団体が予選に進むが、馬頭琴四重奏で参加するモリンホール・クァルテットは初のモンゴルからの応募・参加となる。前回大会で銅賞入賞の日本の打楽器集団「男群」(打楽器六重奏)は再挑戦となる。
 聴衆の中から委託された100名の一般審査員(応募〆切:4月14日(金)必着)が審査にあたり賞を決めるが、これについて梅本俊和フェスタ審査員長は「アンサンブルの楽しみを感じ、審査員には楽しんで選んでいただく。楽しいかどうかが基準になっていい」と述べた。

 このほか、多くの人に室内楽のすばらしさを知ってもらう聴衆の拡大と同時に、 国内の若手アンサンブルの育成等を行う教育的事業「大阪チェンバーミュージック・ホライゾン (Osaka Chamber Music Horizon)」をコンクールと連動し展開する。
 なかでも、今回初めて開催される審査委員によるスペシャル・コンサートは 第2回コンクール弦楽四重奏部門第2位のクァルテット・エクセルシオ、コンクール審査委員長の堤剛(チェロ)、同委員で、パブロ・カザルス音楽祭の芸術監督も務めるクラリネット奏者、ミシェル・ルティエクが出演し、モーツァルトのクラリネット五重奏曲とシューベルトの弦楽五重奏曲を披露、注目される。
 会見で堤は、本公演についての想いを次のように述べた。
「大阪国際室内楽コンクール&フェスタの活動を、違う形でもお見せしたいと考えました。クァルテット・エクセルシオは、コンクールで入賞しクァルテット一本で20年以上活動している、押しも押されもせぬ室内楽団体。モーツァルトの作品は室内楽作品のなかでも珠玉中の珠玉。私が加わってチェロ2本で奏でるシューベルトは、特に第二楽章では泣かずにはいられません」

 なお、コンクール&フェスタの模様は全演奏(スペシャルコンサートを除く)がYouTubeで世界に同時配信される。

第9回 大阪国際室内楽コンクール
5月13日(土)〜17日(水)、20日(土)
(披露演奏会:5月22(月)いずみホール、23日(火)東京・トッパンホール)
第9回 大阪国際室内楽フェスタ
5月18日(木)、19日(金)、21日(日)

予選: 全席自由 1,000円(前売800円、シニア(60歳以上)および学生:500円)
本選: 全席自由 2,000円(前売1,500円、シニア(60歳以上)および学生:1,000円)
披露演奏会(大阪・東京とも): 全席指定 3,000円(前売2,000円、シニア(60歳以上)および学生:1,500円)

第9回大阪国際室内楽コンクール&フェスタ スペシャル・コンサート
華麗なるクィンテットの世界
5/19(金)19:00 いずみホール
入場料:5,000円(前売4,000円)(シニア(60歳以上)および学生:2,500円)

問:日本室内楽振興財団 06‐6947‐2184
http://www.jcmf.or.jp/compefesta2017/