音楽の街ウィーンが育んだ、誇り高きピアニズムの正統的継承者である、イェルク・デームス。1928年生まれの米寿にして、いささかも音楽への探究心が失われぬどころか、いっそう先鋭の度合いを増した感も。そんな巨匠が日経ミューズサロンの舞台に降り立ち、バッハからフランクまで、自身の音楽世界のエッセンスを披露する。
11歳でウィーン音楽アカデミーに入学、14歳でデビュー。ブゾーニ国際コンクールでの優勝をきっかけに、国際的な檜舞台へ。1961年以来、何度も来日を果たし、かつてはバドゥラ=スコダ、グルダと共に「ウィーンの三羽烏」とも称された。
ステージは、バッハ「半音階的幻想曲とフーガ」で幕開け。続いて、「アダージョ ロ短調」「幻想曲 ニ短調」と、モーツァルトの佳品を。ここで、ベートーヴェン最後のソナタ第32番が、楔のように穿たれる。そして、ドビュッシーの3つの曲集から「月の光がそそぐテラス」「月の光」「沈める寺」を披露。巨大な伽藍を思わせる、フランク「前奏曲、コラールとフーガ」で締め括る。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2017年4月号から)
4/20(木)18:30 日経ホール
問:日経ミューズサロン事務局03-3943-7066
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