Sound of the Sky 早川りさこ(ハープ)& 植草ひろみ(チェロ)

阿吽の呼吸が醸し出す暖かな雰囲気

 サン=サーンス「白鳥」、ショパン「ノクターン」(op.9-2)といったクラシックのスタンダードからピアソラのタンゴ、さらにアンドレ・ギャニオン「明日」まで。プログラムだけを見れば、いわゆる名曲コンサートと思われるかもしれない。しかし、ハープの早川りさこは東京芸大に学び、国際的な登竜門で実績を残し、数々の現代作品の本邦初演を手掛けた本格派。そして、チェロの植草ひろみも、やはり東京芸大を卒業し、10年にわたって新日本フィルに在籍後、一線のソリストとして活躍する一方、ラジオでレギュラー番組も持つ多才の実力派。幼少から互いを知り、共に高め合い、先鋭的な活動にも身を投じた彼女たちが形作った“理想郷“こそ、今回の公演『Sound of the Sky』だ。
 親しみ易い旋律の微妙な色彩の違いを余さず掬い取る一方、時に音の擦れといった雑味すら、大胆に表現へ採り込む。何より、ぴたりと寄り添う阿吽の呼吸が醸し出す温かな雰囲気は、この2人なればこそ。楽しいトークも相まって、「新年を盛り上げちゃいます!」と意気込んでいる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ 2016年12月号から)

2017.1/5(木)14:00 東京文化会館(小)
問:プランニングオフィスネイチャ045-433-6274
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