ダンスと彫刻で追究する“身体の表現”
ベルギーを拠点とするダンサー・振付家ダミアン・ジャレと、彫刻家・名和晃平とのコラボレーションであるプロジェクト『VESSEL』は、これまで公演と回を重ねるたび、細胞分裂する胚のごとく急速な成長を見せてきた。今回は来年22回目を迎える横浜ダンスコレクションが横浜美術館と連携し、同美術館の企画展『BODY/PLAY/POLITICS』との協働プロジェクトの一環として上演される。
森山未來らダンサー達は首を強烈に前に倒して抱え込み、異形の肉塊のように蠢く。舞台中央にある白い沼のようなものは不思議な性質を持っており、力のかけ方次第で、液体のようにも固体のようにも振る舞う。そのためダンサーは沼に沈んだり、上を歩いたりできるのである。さらに舞台全体が一変するような驚きの仕掛けも用意されていた。
タイトル『VESSEL』は「船」や「器」「血管」という意味があるのだが、まさに静謐ながらも原初の生命の揺籃を見るような、エネルギーに満ちた舞台だといえる。横浜ではさらなる進化形が期待される。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ 2017年1月号から)
2017.1/26(木)〜1/29(日) 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
問:横浜赤レンガ倉庫1号館045-211-1515
http://www.yokohama-dance-collection.jp/