京都のダンサー・振付家のきたまりが、自身のカンパニーKIKIKIKIKIKIと総力を挙げて取り組んでいるのがマーラーの交響曲全10曲への振付。1年に1作、10年をかけて完遂を目指す壮大な構想だ。今年1月に発表した『TITAN』(第1番「巨人」)では各楽章の印象深いフレーズに喚起され、パロディ精神に満ちた闊達なアンサンブルを展開。日常の身振りの応用など革新性もあるものの、全体は音楽に即したオーソドックスな形態を保ち、ダブルビルで上演したきたまり自身による同曲ソロ版の破壊的な作りと好対照をみせた。
第2弾の今回は第7番「夜の歌」に取り組む。カンパニー版ではバレエやモダンなど既存の様式に拠らないKIKIKI KIKIKI独自の身体言語で、重層的な第7番の構造にどこまで迫るか。キャラクター性に富んだ女性ダンサー陣の熱演も期待される。きたまりソロ版はゲストに舞踏出身の三浦宏之を迎え、完成された振付の崩壊と変容を目論む。野心溢れるコンテンポラリーダンス版“マーラー・ツィクルス”に要注目である。
文:竹田真理
(ぶらあぼ 2016年10月号から)
10/14(金)〜10/18(火) 京都/アトリエ劇研
問:きたまり/KIKIKIKIKIKI 080-5345-9906(10/12〜10/18)/ki6dance@gmail.com
http://ki6dance.jimdo.com