キューバの至宝ピアニストと“空前絶後”の共演
どうやら彼にとって今年は“2台ピアノの年”であるようだ。5月に行われたチック・コリアとのデュオ・ツアーも記憶に新しい小曽根真が、今度は「“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団」で、キューバの至宝ピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバと共演する。
幼時からクラシックを学び、10代半ばからプロとして活動していたゴンサロが、巨匠ディジー・ガレスピーに見出されて“西側デビュー”を果たしたのは1985年のこと。強靱なテクニックに裏打ちされた、躍動と静謐が同居するオリジナルな音楽はまたたく間に人々を魅了し、のちに4度のグラミーに輝くことになる。
ジャンルに囚われない越境性という点では共通するスタンスを持つ小曽根とゴンサロ。そんな彼らが今回選んだのはバルトークの「2台ピアノと打楽器のための協奏曲」だ。ピアノの打楽器的側面とソノリティの妙を追求したこの作品に、音楽の可能性にチャレンジし続ける2人がどのような新しいパースペクティヴをもたらすのか、期待は高まるばかり。また後半のジャズ・セッションも見逃せない。「ピアノで表現すること」にかけては互いに引けを取らない矜恃を胸に秘めているであろう彼らが繰り広げる世界は、まちがいなく空前絶後となるはずだ。
なおこのコンサートに先駆けて小曽根真のワークショップ「自分で見つける音楽 Vol.4」(9/21)が、またプラチナ・シリーズとしてゴンサロのソロ公演(10/6)もおこなわれるので(いずれも東京文化会館小ホール)、こちらも要チェックのこと。
文:藤本史昭
(ぶらあぼ 2016年9月号から)
10/1(土)17:00 東京文化会館
10/2(日)15:00 オリンパスホール八王子
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
http://www.t-bunka.jp