谷桃子バレエ団『谷桃子追悼公演』

美しきバレエ人生へ捧ぐオマージュ

谷 桃子
谷 桃子
 戦後の日本バレエ史とともに生き、2015年4月に旅立った谷桃子。谷が生涯をかけて愛し育てあげてきた掌中の珠、谷桃子バレエ団が、この秋『谷桃子追悼公演』を行う。
 バレエ団は1949年設立され、50年代には2大レパートリーとなる『白鳥の湖』、『ジゼル』を上演、土台がつくられた。その後も『リゼット』(62年)、『ドン・キホーテ』(65年)、『バヤデルカ』(81年)といった現在も広く愛されている全幕作品を日本初演。古典作品だけにとどまらず、ビルギット・クルベリ振付『令嬢ジュリー』に代表される新しい感覚を持った作品に果敢にチャレンジし、望月則彦ら日本人振付家による創作作品の上演も積極的に行うことで、バレエ界に新しい風を送り続けてきたカンパニーだ。
 現在明らかになっている上演作品は、谷の当たり役となり、引退公演でも踊った『ジゼル』より第2幕、『瀕死の白鳥』、そして谷桃子バレエ団出身で、現在は振付家として活躍する伊藤範子から恩師へ贈るオマージュ『追憶』である。『追憶』は、谷が愛したドビュッシーやショパンの楽曲を使い、2015年8月研究所の発表会で初演された。今回は男性ダンサーも加え、規模を拡大して再構成される。「先生が、常に『気持ちを持って』と、心と動きを繋げて表現する事を指南されてこられたので、ダンサー達には大切に踊って欲しい」と伊藤。彼女自身が谷から受け継いだバレエの神髄が作品に託される。
 谷桃子が人生をかけて遺したものとは何だったのか、それを知るまたとない機会になるだろう。
文:守山実花
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年7月号から) 

9/23(金)18:30
めぐろパーシモンホール
問:谷桃子バレエ団03-5726-8731 
http://www.tanimomoko-ballet.com