フランツ・リストを人生の目標に
楽曲への愛着はもとより、その精神への共感から、長らくリスト作品の探究を続けてきた渡辺健二。リスト音楽院留学中にリスト・バルトーク国際ピアノコンクールに入賞し、後年には審査員も務めるなど、ハンガリーゆかりの作品に深い理解を持つ。
今回取りあげるのは、バルトーク、リスト、シューベルト。まずバルトークは「子供のために」第3集。シンプルな音楽の中に、バルトークらしい斬新な和音やリズムが聴かれる作品だ。リストからは、作曲家が信仰心を深める中で書き上げた「2つの伝説」。リスト弾きならではの、豊富な知識に裏打ちされた表現を聴くことができるだろう。そして後半は、深い精神世界を持つシューベルトのソナタ第18番「幻想」に向き合う。
演奏家、教育者として長きにわたり活躍してきた渡辺。「リストが目指した、人を愛し、助け、社会に奉仕することを、勇気をもってやっていきたい。リストは人生の目標」だという。円熟期を迎えた今、このプログラムを通して何を語るのだろうか。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年6月号から)
6/10(金)19:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp