ベルリン古楽アカデミー

バッハ父子とイタリア・バロックの神髄

©Kristof Fischer
©Kristof Fischer

ひとつの音楽的目標へ、全員が一丸となって向かってゆく。それでいて、一人ひとりの個性が輝き立つ場面も数多い。そんな変幻自在の魅惑的な演奏で、世界中の音楽ファンを虜にし続けているのが、ドイツを代表するオリジナル楽器アンサンブル、ベルリン古楽アカデミー。ソリスト級の名手ばかりで構成される精鋭部隊が、初夏の日本へと降り立つ。
1982年に旧東ベルリンで創設され、89年のドイツ統合以降は、海外での公演にも力を注ぎ、世界中でツアーを敢行。録音にも精力的に取り組み、名演を次々に発表し、権威ある賞を総なめに。その演奏は活動歴を重ねるにつれ、さらに先鋭の度合いを増している感もある。今回のトッパンホールでの公演は、コンサートマスターのゲオルク・カルヴァイトがリード、バロックオーボエの名手クセニア・レフラーが軸となる。
まずは、「ヨハン・セバスティアン・バッハとカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ」と題して(6/23)。ヴァイオリン協奏曲第2番やオーボエとヴァイオリンのための二重協奏曲など大バッハの傑作に、オーボエ協奏曲やシンフォニア第5番など次男エマヌエルの作品、さらに父子の両方から影響を受けたモーツァルトが弦楽四重奏へ編曲した「前奏曲とフーガ」(平均律クラヴィーア曲集第2巻から第8番)を交える。
そして、もうひとつが「ヴェネツィアの休日 ― 協奏曲とシンフォニア」(6/27)。有名なマルチェッロのオーボエ協奏曲をはじめ、ヴィヴァルディやアルビノーニ、カルダーラ、テッサリーニなど陰影に富んだイタリア・バロック作品の数々を披露する。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年6月号から)

ヨハン・セバスティアン・バッハとカール・フィリップ・エマヌエル・バッハ 6/23(木)19:00
ヴェネツィアの休日 ― 協奏曲とシンフォニア 6/27(月)19:00
トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com