若きブラームスの瑞々しい名品2曲を
生涯独身を貫いたブラームスだが、20代は婚約しながらも破談になったり、クララ・シューマンと出会って親密になるなど、恋多き青年時代を過ごした。その時期の情熱を美しい旋律と濃密な響きに込めた室内楽作品である、弦楽六重奏曲第1番とピアノ四重奏曲第1番。前者はロマンティックな第2楽章のピアノ編曲がクララに捧げられ、後者はクララのピアノで初演されている。この名品2作から「ブラームスの若き日の恋に思いをはせる」コンサートが、第一生命ホールの『室内楽の魅力 ブラームス 第3回』だ。
弦楽六重奏曲では、長くNHK交響楽団のトップを務めた(現在フリー奏者)ヴァイオリンの堀正文とチェロの木越洋の両ベテランに、現ヴィオラ首席の佐々木亮はじめ現役N響メンバーが加わり、練達のアンサンブルで甘美なロマンを満喫できそうだ。ピアノ四重奏曲では、2010年ジュネーヴ国際コンクール優勝以来めざましい活躍を続ける若手の名手、萩原麻未のピアノを中心に、青年ブラームスの瑞々しい感性と迸る熱意を堪能したい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年4月号から)
5/14(土)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
http://www.triton-arts.net