震災遺児たちへの熱いクラシック・エイド
東日本大震災から早いもので5年近く。保護者を亡くして苦しむ震災遺児は今も多い。そんな彼らの進学を支援すべく、毎日新聞社が設立したのが「毎日希望奨学金」だ。これまでに約1億9200万円の奨学金が延べ798人に給付されている。その奨学金をサポートするチャリティコンサートとして、2011年から毎年開催されているのが『がんばろう ! 日本 スーパーオーケストラ』だ。
このオーケストラは、世界的に活躍するソリストや、名門オーケストラに所属する有志たちによって結成された。指揮者は昨年が小林研一郎だったが、今年は本名徹次が登場。彼は、現代音楽にも精通し、ベトナム国立交響楽団の音楽監督として初のアメリカ公演を行い、大成功を収めている実力派だ。コンサートマスターの小森谷巧(読響コンサートマスター)とともに、知的で洗練された演奏を聴かせてくれることだろう。
こうした頼もしいサポートを得て、情熱的なソロを披露するのが2人の豪華な顔ぶれ。ピアニストの小山実稚恵と、ヴァイオリニストの松田理奈だ。小山の演目は、1993年に録音も発表している得意曲、ラフマニノフの協奏曲第2番。持ち前の優れた技巧と、天衣無縫な音楽性を存分に楽しみたい。松田は、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」など3曲を演奏。特有の色彩感の豊かな音色にふさわしい好選曲なだけに期待が高まる。
そして最後を締め括るのが、本名と管弦楽のみによるラヴェル「ボレロ」。「毎日希望奨学金」のさらなる発展を予見する大団円となるに違いない。当日は会場に募金箱が設置され、出演者が奨学金への協力を呼びかける。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年3月号から)
3/15(火)19:00 サントリーホール
問:毎日新聞社事業本部03-3212-0804/テンポプリモ03-5810-7772
http://www.tempoprimo.co.jp