大きな花束のような選曲で魅了
ソロはもとより、室内楽や歌唱伴奏の分野でも卓越した音楽性を発揮する、ピアニストの井上千本。東京芸大を経て渡墺し、名匠イェルク・デームスの薫陶を受け、1991年にはザルツブルク音楽祭への出演を果たすなど、精力的な演奏活動を展開する。日本女子大や立教大で指導にあたる一方、東京芸大大学院では伴奏助手として、第一線で活躍する声楽家の育成にも貢献。
2009年に同じトッパンホールで開催したリサイタルでは、20世紀フランスのシャミナードを軸とした独創的なプログラムから、骨太で奥行きのある世界観を構築し、聴衆の深い共感を得た。今回は、ベートーヴェンのソナタ第17番「テンペスト」を核として、ショパンのワルツ集からの5曲に「幻想ポロネーズ」、シューマン「アラベスク」、チャイコフスキー「四季」から「6月」と「11月」、ドビュッシー「月の光」「喜びの島」、そして、バルトーク「ルーマニア民族舞曲」で締めるという、咲き乱れる大きな花束のような選曲。果たして、どんな色彩豊かなプレイで、我々を魅せてくれるのか。
文:笹田和人
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年2月号から)
3/16(水)19:00 トッパンホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
http://www.proarte.co.jp