三者三様の世界観に浸る
「男性振付家3名が送る、自由で真摯な現代のダンスパフォーマンス!!」という触れこみだ。
柳下規夫は独自の美意識に富んだ作風で知られる重鎮。『楢山節考』(深川七郎原作、1979年)により数々の賞を受けるなど、若き日から存在感を示し息長く踊り続ける。『冷たい満月 ニジンスキーの影に翔る』には柳下がオマージュを捧げる舞踊家ニジンスキーの名が冠されている。不世出の天才と称されるも神経を病み、表舞台から消えたカリスマの生と死が、いかに反映されるのか——。ベテラン・バレリーナの川口ゆり子と柳下の共演も見逃せない。
山本裕は新進気鋭のダンサー・振付家として評価を高め、国内外で活動の幅を広げている。出世作『モザイク紳士』は自作自演の独舞で、不思議な存在感と意表を付く動きが相まって新鮮な感性が光っていた。『The color of flowers』は山本と若手ダンサー15名によって踊られる。若く才気あふれる創り手が紡ぎ出す、みずみずしい踊りに期待したい。
能美健志は1990年代から第一線で活躍する。緻密かつ骨太な構成力を持ち味とし、小品から長編作品まで洗練されたタッチで仕上げる才人だ。『春の祭典』ではストラヴィンスキーの同名曲にチャレンジし、一筋縄にはいかない大曲と四つに組む。新境地に挑むであろうことは想像に難くないだけに注目される。
世代も個性も異なる実力者が放つ三者三様のダンスの世界を楽しみたい。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2016年3月号から)
3/17(木)、3/18(金)各日19:00 東京芸術劇場 プレイハウス
問:現代舞踊協会事務局03-5457-7731
http://www.gendaibuyou.or.jp