東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第九特別演奏会

「第九」の直球勝負!


 暮れも押し迫った、という表現がぴったりの12月28日。首都圏のプロ・オーケストラによる「第九」コンサートの中でも堂々の真打ち級と言える時期に、しかも1曲勝負で行われるのが東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の「第九特別演奏会」だ。
 今年の指揮台に立つのは昨年に続き、桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎。言うまでもなくドイツ音楽を知り尽くした名匠であり、ベートーヴェンの交響曲を得意としていて…などと、あらためて書く必要もないほどのマエストロである。しかも今年はオペラ部門の芸術監督を務める新国立劇場において、1月にはワーグナーの《さまよえるオランダ人》を、10月には《ラインの黄金》を大成功させたという輝かしい実績を積み上げての「第九」である。重厚なゲルマン魂が注入された演奏が聴けるのは間違いないだろう。
 もうひとつ特記したいのはマエストロが1940年生まれであり、今年は生誕75年という節目を迎えた年であるということ。この祝祭的な「第九」に華を添える声楽陣も、プリマドンナとして国内外で活躍中の横山恵子(ソプラノ)や、オペラをはじめマーラーの交響曲などでも存在感のある歌を聴かせてくれる池田香織(メゾソプラノ)に、望月哲也(テノール)と小森輝彦(バリトン)が加わった豪華布陣。さらにはマエストロの意図を熟知している東京シティ・フィル・コーアも加わり、一体感のある響きが東京文化会館の大ホールを揺るがすに違いない。「ザ・第九」をお聴き逃しなく。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年12月号から)

12/28(月)19:30 東京文化会館
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
http://www.cityphil.jp