国連難民援助活動支援チャリティーコンサート 5人の指揮者 × 5人のピアニスト × 4人の声楽家 × ベートーヴェン

ベートーヴェンの「平和のメッセージ」を壮大に謳う


 内容、規模、そして理念。どれも実に壮大な公演だ。世界各地の難民活動を支援すべく、指揮者5名、ピアニスト5名、声楽家4名、そして1つのオーケストラが年の瀬に集う。プログラムはオール・ベートーヴェン。平和や人類愛を歌うのに、これ以上ふさわしい作曲家はいないだろう。しかも今回は、ピアノ協奏曲全5曲、ヴァイオリンのためのロマンス全2曲、交響曲第9番「合唱付」(全曲)を1日で演奏するというから凄い。
 指揮者は、曽我大介や西谷亮ら、実力派が交替で登場。管弦楽のブロッサム・フィル(2008年結成の新生楽団)で音楽監督を務める西谷は、司会も担当する。
 ピアノ協奏曲のソリストも実力派揃いで、個性豊かな面々が並ぶ。中でも、ドイツで巨匠ペーター・レーゼルに学んだ髙橋望がソロを弾く第5番「皇帝」は、作品への深い共感と歌心に満ちた名演が期待される。また、「2つのロマンス」では、同フィルの客演コンサートマスター・中村太地がソロを担当。今年のブラームス国際コンクール第3位の若き名手が真価を示す。
 そして「第九」の指揮台には、この作品を幾度となく指揮している曽我が登場。俳優・辰巳琢郎を父に持つ注目のソプラノ・辰巳真理恵らとともに、シラーの理念をベートーヴェンが昇華させたモットー「抱き合え、全世界の人々よ」を高らかに歌い上げる。
 なお、公演の収益の一部と当日行われる募金は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて、世界各地の難民援助活動に役立てられる。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年12月号から)

12/28(月)15:00 ティアラこうとう (21:00終演予定)
問:ブロッサムフィルハーモニックオーケストラ03-5621-2636
http://www.blossom-phil.or.jp