若き5人が醸す豊穣なパリの響き
池村京子、佐野隆哉、島田彩乃、橘高(きつたか)昌男、宮崎明香(はるか)。「パリ5人組」はパリ留学をともに過ごした彼ら5人が結成したピアニスト・ユニットだ。全員の留学時期が重なっていたのは2005年から06年の間。帰国後に5人が集まった時にアイディアが出て、このチームが誕生した。13年の第1回と昨年の第2回のコンサートは7月のパリ祭の時期に合わせて開催したが、今年の第3回はボジョレーヌーヴォーの季節にお引越し。
そんな彼らのコンサートのプログラムに並ぶのは、当然ながらパリにゆかりの作曲家たちの音楽。ドビュッシー「映像」第2集(池村)、デュティユー「ピアノ・ソナタ」 (島田)、ラヴェル「鏡」(宮崎)、フォーレ「ヴァルス・カプリス第1番」「ノクターン第3番・第6番」(橘高)、プーランク「フランス組曲」「間奏曲 変イ長調」(佐野)など。それぞれがパリで感じ取ってきたフランス音楽の色や匂いを楽しませてくれるだろう。
そしてこのコンサートの毎回の目玉が、5人のメンバー全員による2台10手ピアノの演奏だ。もちろん基本的にはこの編成のための既存の作品は存在しないから、コンサートのたびに新たに編曲してレパートリーを開拓している。今回はビゼー《カルメン》の〈ハバネラ〉と、デュカスの「魔法使いの弟子」。ピアノ好きの人でも普段あまり接する機会がない編成の、豊饒なピアノ・サウンドに注目しよう。
文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)
11/23(月・祝)16:00 トッパンホール
問:1002(イチマルマルニ)03-3264-0244
http://www.1002.co.jp