パユが個性的な3つの「協奏曲」に挑む。プロコフィエフの管弦楽伴奏版によるフルート・ソナタは、極上に滑らかなフルート独奏の優雅さに驚くばかり。新古典主義的なオーケストレーションも相まって、どの時代の作品かわからなくなってしまうほど。怒濤のように畳みかける終楽章コーダも圧巻。ラウスのフルート協奏曲は、ネオ・ロマンのスタイル。速いパッセージでは超絶技巧が駆使され、ケルト楽器のような歌い回しも。細川俊夫のフルート協奏曲『セレモニー』は、静寂のなかに嵐のように響きが波立つ。尺八を思わせる奏法も交え、パユの際限のない表現力が発揮される。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2026年10月号より)
【information】
CD『セレモニー~プロコフィエフ、ラウス、細川:フルート協奏曲集/エマニュエル・パユ』
プロコフィエフ(コンツ編):フルート・ソナタ/ラウス:フルート協奏曲/細川俊夫:『セレモニー』(フルートとオーケストラのための)
エマニュエル・パユ(フルート)
ジョナサン・ストックハンマー(指揮)
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-13891 ¥3410(税込)

鈴木淳史 Atsufumi Suzuki
雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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