2027年1月の海外公演情報

Wiener Staatsoper Photo by Dimitry Anikin on Unsplash

『ぶらあぼ』誌面でご好評いただいている海外公演情報を「ぶらあぼONLINE」でもご紹介します。
[以下、ぶらあぼ2026年10月号海外公演情報ページ掲載の情報です]

曽雌裕一 編

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 意外に話題に上っていないように思うのだが、2027年はベートーヴェンの没後200年にあたり、1月にも早速ベートーヴェンの注目公演が並ぶ。例えば「ミサ・ソレムニス」。キリル・ペトレンコがベルリン・フィルで取り上げる(これは、来年3月のザルツブルク復活祭音楽祭に向けたプレ公演という位置付けでもあろう)一方、老匠サヴァールが、手兵ル・コンセール・デ・ナシオンと共にウィーン(コンツェルトハウス)やフランクフルト(アルテオーパー)などで演奏する。おそらくは、全くアプローチの異なった表現が展開するものと思われる。交響曲第9番「合唱付」も多くの公演があるが、中でも「ザルツブルク・モーツァルト週間」において、ティーレマンがウィーン・フィルと共に「第九」を演奏する公演は、何で「モーツァルト」の音楽祭で単独の「ベートーヴェン」なの?という、いささかの違和感は感じるものの、ソプラノのニールンドやテノールのフォークトを動員した、まあ豪勢な「第九」の公演だ。フォークトは1日にはネルソンス指揮のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管でも「第九」を歌う。その後、ニールンドとフォークトは3日にドレスデン・ゼンパーオーパーでコルンゴルト「死の都」に出演した後、上旬には来日してN響のニューイヤー・コンサートにも2人で登場する。いやまあ、人気者のハードスケジュールには心底驚くものがある。

 アニバーサリー作曲家はベートーヴェンだけではなく、2027年2月には、現役の作曲家ジョン・アダムズも80歳の傘寿を迎える。その記念として、ロンドン響では、サイモン・ラトルとアダムズ自身による指揮で、彼の主要な管弦楽作品が演奏され、アダムズによる自作自演は、パリ、ケルン、フランクフルトでも公演が行われる。また、ベルリン・ドイツ・オペラでアダムズ作のオペラ「ニクソン・イン・チャイナ」が上演されるのも大いに注目。

 この他のオペラ関係では、ウィーン国立歌劇場のスメタナ「売られた花嫁」、ヴェルディ「ドン・カルロス」、アン・デア・ウィーン劇場のリムスキー=コルサコフ「金鶏」(ロシア以外では上演が珍しい)、ヴィヴァルディ「ロズミーラ」、「ザルツブルク・モーツァルト週間」での「コジ・ファン・トゥッテ」、ベルリン・コーミッシェオーパーのシマノフスキ「ロジェ王」(これも上演は稀)、ハンブルク州立歌劇場のロッシーニ「ウィリアム・テル」(演出のトビアス・クラッツァーに要注目)、ジュネーヴ大劇場のヘンデル「テオドーラ」(ピション指揮)などの他、ヤナーチェクの「カーチャ・カバノヴァー」がバイエルン州立歌劇場とパリ・オペラ座(ガルニエ宮)で競合するのも面白い。ワーグナーの注目公演は、フランクフルト歌劇場の「タンホイザー」、シュトゥットガルト歌劇場の「さまよえるオランダ人」、チューリヒ歌劇場の「ワルキューレ」、英国ロイヤル・オペラの「神々の黄昏」など。ビゼーの「真珠採り」がミンコフスキ指揮(リセウ大劇場)の他、ミラノ・スカラ座でもプレミエ公演が出る。

 オーケストラ関係では、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを振るトゥガン・ソヒエフがミュンヘン・フィルでプロコフィエフの交響曲第5番を指揮。フルシャやロトの振るベルリン・フィル、ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ響によるイヴォンヌ・ロリオ(メシアンの妻)の珍曲(ナガノが彼女の遺品より近年発見)、NDRエルプ・フィルやベルリン放送響などの現代音楽祭、ルクス指揮コレギウム1704によるゼレンカ作品集など、多彩な公演が並ぶ。なお、本文では、ウィーン、ケルンやパリなど数公演しか掲載できなかったが、2027/08シーズンよりシカゴ響の音楽監督就任予定のクラウス・マケラが1月には同響を率いて大規模なヨーロッパツアーを行うので、ご関心の向きはネットで検索してみていただきたい。

(曽雌裕一・そしひろかず)
(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)