世界の名手が北九州に集結——チョ・ソンジン、ユジャ・ワンら出演の「響シリーズ」豪華ラインナップ

 北九州を代表する文化発信地「響ホール」。リサイタルや室内楽に最適な720席で、レンガとガラスが融合した温かみのある空間が演奏を美しく彩る。地元に根差した公演も人気だが、世界的アーティストも多数出演しており、今シーズンも魅力的なアーティストが顔を揃える。中でも見逃せないのが“響シリーズ”だ。

チョ・ソンジン ©Stephan Rabold

 5月はチョ・ソンジンが登場。第17回ショパンコンクールの覇者であり、以後幅広い楽曲をレパートリーとしながらその芸術性を深めているピアニストだ。今回彼が聴かせてくれるのはバッハの「パルティータ第1番」にシェーンベルク「ピアノ組曲」、シューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化」とドイツ・オーストリアのピアノ作品の変遷をたどるような作品と共に、ショパンのワルツが14曲並ぶ。いずれの楽曲もソンジンの音色の美しさ、精緻なピアニズムを堪能できるものだが、とくにショパンのワルツについては曲想や調の流れをもとに彼独自の配列で構成されており、新たな発見に出会える時間となるはずだ。

ユジャ・ワン ©WelLai_BeijingYouthWeekly

 続いてはドラマティックな演奏と華麗なパフォーマンスで人気を集めるユジャ・ワン。メシアン「トゥランガリーラ交響曲」を収録したCDのリリースやチャイコフスキーのピアノ協奏曲の弾き振りなど、つねに演奏と共に驚きを提供してくれるピアニストだ。6月の公演はなんとプログラムが「当日発表」。この公演が彼女にとって日本で10年ぶりのリサイタル・ツアーの初日ということもあり、どんなステージが展開するのか期待が膨らむ。

小菅優 ©Takehiro Goto
樫本大進 ©Keita Osada(Ossa Mondo A&D)
クラウディオ・ボルケス ©Peter Adamik

 7月には日本が誇る世界的アーティストであり、革新的な試みが注目を集めるピアニストの小菅優が登場。信頼厚い奏者との室内楽を届けてくれる。共演は、ソリストとして、さらにベルリン・フィル第1コンサートマスターとしても活躍する樫本大進(ヴァイオリン)、数々の国際コンクールで優勝を重ね、世界各地でその音色が愛されているクラウディオ・ボルケス(チェロ)だ。プログラムはモーツァルトのピアノ三重奏曲K.564に武満徹の「ビトゥイーン・タイズ」、そしてシューベルトの「ノットゥルノ」にメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番。多彩な作品を豪華共演で味わえる極上の時間となるだろう。

 さらに11月には福川伸陽をはじめ、日本を代表するホルン奏者が集い卓越した妙技を披露してくれる「スペシャル・コンサート」、2027年2月にはヴァイオリニストの篠崎史紀(まろ)率いる「マイスター・アールト×ライジングスター オーケストラ」のメンバーによるバッハとヴィヴァルディの作品が並ぶ公演が予定されているなど、豪華なラインナップが続いていく。

文:長井進之介


響シリーズ

チョ・ソンジン(ピアノ)
2026.5/16(土)15:00


プログラム

J.S.バッハ:パルティータ 第1番 変ロ長調 BWV825
シェーンベルク:ピアノ組曲 op.25
シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化 op.26
ショパン:ワルツ集(全14曲)
 第14番 ホ短調
 第4番 ヘ長調 op.34-3
 第6番「小犬のワルツ」変ニ長調 op.64-1
 第9番「告別」変イ長調 op.69-1
 第7番 嬰ハ短調 op.64-2
 第11番 変ト長調 op.70-1
 第10番 ロ短調 op.69-2
 第3番 イ短調 op.34-2
 第8番 変イ長調 op.64-3
 第12番 ヘ短調 op.70-2
 第13番 変ニ長調 op.70-3
 第5番 変イ長調 op.42
 第2番 変イ長調 op.34-1
 第1番「華麗なる大円舞曲」変ホ長調 op.18


ユジャ・ワン(ピアノ)
2026.6/6(土)17:00


プログラム

当日発表


樫本大進(ヴァイオリン) 小菅 優(ピアノ) クラウディオ・ボルケス(チェロ)
2026.7/5(日)15:00


プログラム

モーツァルト:ピアノ三重奏曲 ト長調 K.564
武満 徹:ビトゥイーン・タイズ
シューベルト:ピアノ三重奏曲 変ホ長調 op.148, D897 「ノットゥルノ」
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 op.49


スペシャル・コンサート
Japan Horn Sound vol.1.5 Tour 2026

2026.11/29(日)15:00


出演

ホルン:福川伸陽、高橋臣宜、信末碩才、鈴木 優
ピアノ:山中惇史
打楽器:山口大輔

プログラム
プロコフィエフ(寺嶋陸也 編):ロメオとジュリエットより 3つのシーン ほか


マイスター・アールト×ライジングスター オーケストラメンバーによる
未来への誘い—夜明けを告げる者たち

2027.2/6(土)14:00


出演

ヴァイオリン:篠崎史紀、双紙正哉、落合真子、小西健太郎、東條太河、横島礼理
ヴィオラ:佐々木亮、井上麗香、川邉宗一郎
チェロ:笹沼 樹、築地杏里、松谷壮一郎
コントラバス:菅沼希望
チェンバロ:山田武彦

プログラム
J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲 第3番 BWV1048
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 『和声と創意の試み』より「四季」 ほか

問:北九州市芸術文化振興財団 音楽事業課(北九州市立響ホール)093-663-6661
https://www.hibiki-hall.jp


長井進之介 Shinnosuke Nagai

国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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