
ピアニストの久元祐子は、国内外で精力的に演奏会活動を展開している。特に、モーツァルトなど古典派の演奏に定評があり、その歴史的背景を踏まえた解釈は注目を集めている。また、自身が所有するオリジナル楽器での演奏も手掛ける。
久元は、2023年11月から「ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会」のシリーズを開始し、5月16日にはTOPPANホールでその第4回をひらく。当公演では、久元が所有するベーゼンドルファー280VCピラミッド・マホガニーのピアノが使用される。
今回演奏されるのは、ベートーヴェンのウィーン時代初期から「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれた時期までの4曲だ。プログラムは、清々しい生彩を放つ第6番(1797年頃完成)で始まる。続いて第15番「田園」(1801年作曲)。その牧歌的な楽想は、ロマン派の表現を先取りしている。第9番(1798年作曲)には、第1楽章に弦楽四重奏の書法が取り入れられるなど、作曲家の意欲が垣間見られる。そして、ベートーヴェンが「ハイリゲンシュタットの遺書」をしたためた1802年作曲の第17番「テンペスト」。ドラマティックな表現を特徴とする。第2楽章には穏やかな抒情性が漂い、フィナーレはペシミスティックな情感を湛える。
古典派の作曲家のスペシャリストである久元は、ベートーヴェンが大きく羽ばたこうとしている時期の作品を通して、どのような作曲家の素顔を描き出すのだろうか。
文:道下京子
(ぶらあぼ2026年4月号より)
久元祐子 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会 Vol.4
2026.5/16(土)15:00 TOPPANホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
https://www.proarte.jp

