N響の4月、5月定期はファビオ・ルイージ、ミヒャエル・ザンデルリンクが登場

左より:ファビオ・ルイージ ©NHKSO/ミヒャエル・ザンデルリンク/クリスティアン・テツラフ ©Giorgia Bertazzi/ターニャ・テツラフ ©Neda Navaee

 マーラーとブルックナーの交響曲は、ファビオ・ルイージ&NHK交響楽団にとって、最も中心的なレパートリーといえるだろう。ルイージは、N響で、ここぞというときにそれらを取り上げてきた。2023年の第2000回定期では、マーラーの交響曲第8番を指揮し、25年5月に招かれたアムステルダムでのマーラー・フェスティバルでは交響曲第3番と同第4番を披露した。そして、今年10月のN響創立100年記念演奏会ではマーラーの交響曲第2番「復活」を取り上げる。一方、2024年9月のシーズン・オープニングでは、ブルックナーの交響曲第8番(初稿)を手掛けた。彼らはほかにマーラーの交響曲第1番、ブルックナーの交響曲第2番、第4番、第7番、第9番も演奏している。

 4月の定期公演で彼らのマーラーとブルックナーが聴けるのはうれしい。ルイージのマーラー第5番といえばサイトウ・キネン・オーケストラとの名演が思い出される。ブルックナー第9番は12年振りの再演。また、ヤン・フォーグラーとのハイドンのチェロ協奏曲第1番やN響首席奏者の松本健司とのモーツァルトのクラリネット協奏曲も楽しみだ。

 5月の定期公演にはドイツ出身のミヒャエル・ザンデルリンクが客演する。彼の父親は往年の名指揮者クルト・ザンデルリンク。チェリストとしてキャリアを始め、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管やベルリン放送響で首席奏者を歴任。その後、指揮者に転身し、2011年から19年までドレスデン・フィルの首席指揮者を務め、21年にはルツェルン響の首席指揮者に就任した。N響とは2015年に初共演し、シューマンのピアノ協奏曲、ブルックナーの交響曲第4番というドイツ音楽プログラムを指揮。

 今回は、ブラームス・プログラム。ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲で独奏を務めるのはクリスティアン・テツラフとターニャ・テツラフ。兄妹は、ともにテツラフ・カルテットのメンバーであり、そのほかの室内楽などでもしばしば共演している。ブラームスの二重協奏曲もパーヴォ・ヤルヴィ&ベルリン・ドイツ響との録音があり、今回、ますます、バージョン・アップした演奏を聴かせてくれることだろう。演奏会の後半はシェーンベルク編曲によるピアノ四重奏曲第1番。ルツェルン響とともにCD録音しているだけでなく、2026年2月のベルリン・フィル客演でもメインで取り上げた、ミヒャエルにとっての勝負曲。N響とのコラボレーションが待ち遠しい。

文:山田治生

(ぶらあぼ2026年4月号より)

ファビオ・ルイージ、ミヒャエル・ザンデルリンク(指揮)NHK交響楽団
第2060回 定期公演 Aプログラム

2026.4/11(土) 18:00、4/12(日)14:00 NHKホール
第2061回 定期公演 Bプログラム
4/16(木)、4/17(金)各日19:00 サントリーホール
第2064回 定期公演 Aプログラム
5/23(土)18:00、5/24(日)14:00 NHKホール
問:N響ガイド0570-02-9502 
https://www.nhkso.or.jp


山田治生 Haruo Yamada

音楽評論家。1964年、京都市生まれ。1987年慶應義塾大学経済学部卒業。雑誌や演奏会のプログラム冊子に寄稿。著書に「トスカニーニ」、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人」、「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方 」、編著書に「戦後のオペラ」、「バロック・オペラ」、「オペラガイド」、訳書に「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」などがある。