池田昭子(オーボエ)

©Junichi Ohono
©Junichi Ohono

 NHK交響楽団の池田昭子(オーボエ)を中心に、読売日本交響楽団首席の倉田優(フルート)、セントラル愛知交響楽団1st奏者の箱崎由衣(クラリネット)、新日本フィルハーモニー交響楽団首席の河村幹子(ファゴット)、そして、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席の豊田実加(ホルン)と女性の名手ばかり5人で結成された木管五重奏団「池田昭子クインテット」がデビュー盤『恋は野の鳥』を発表。「もっと繊細な響きになるかと思ったのですが、意外に重厚で迫力のある五重奏になったのが驚き」と池田は言う。
 「知的でクールな女性奏者を集めて、木管五重奏が出来れば…」と、池田はかねがね“妄想”していたとのことだが、フィリアホールで「女神(ミューズ)との出逢い」というステージ(今年の5月に開催)が決定し、そのチャンスは意外にも早くやってきた。
「コンサートが決まってから、イメージを膨らませて今回のメンバーにお声がけし、奇跡的に皆さんのスケジュールを合わせることができたのです」
 メンバーは年齢も様々だが、5人の共通点はあるのだろうか。
「とても真面目に音楽に取り組むこと。短い期間に深く音楽に集中してリハーサルができ、方向性を決めることができました。女性らしい細やかさが光るアンサンブルになり、とても満足しています」
 オーケストラ奏者、そしてソリストとしても活躍する池田にとって、木管五重奏の魅力とは?
「各々の楽器の発音形態が違うので、合わせるのが難しいのですが、その分、楽器の組み合わせによって、様々な響きや音色の変化ができて、とても魅力的なアンサンブル。特にアレンジものでは、この編成ならではの楽しみ方があります」
 デビュー盤は、ビゼー「カルメン組曲」やドビュッシー「小組曲」など編曲ものから、ジョリヴェ「セレナーデ」など木管五重奏のためのオリジナル作品まで、全6曲を収録。
「まずはフランスのオリジナル作品を。ジョリヴェは難曲なので挑戦でしたが、録音できて良かったと思います。そして、木管五重奏に馴染みのない方も楽しんでいただけるよう、秀逸なアレンジ作品を配しました。特にジョリヴェの第1・第3楽章やドビュッシーの流麗なフレーズが、女性的なしなやかさで、より美しく表現できたと思います」
 アルバムは“歌心”が全篇に溢れている。
「音楽のエネルギーや、美しさをきちんと表現するメンバーなので、自然とそうなったのではないでしょうか」
 それぞれ異なるオーケストラで活躍中なので、なかなかスケジュールを合わせるのが難しいとのことだが、次回作の予定は?
「今回、この五重奏がとても楽しくて、『また、必ずやろうね!』と話し合って、終えました。さらに魅力的なレパートリーを引っ提げて、また必ず第2弾を録音したいですね」
取材・文:寺西 肇
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)

CD
『恋は野の鳥』
マイスター・ミュージック
MM-3058 
¥3000+税
9/25(金)発売