小曽根 真(ピアノ)

モーツァルトとジャズが出会うゴージャスな一夜

©オノツトム
©オノツトム

おそらくは、年末恒例のメイン・イべントに据えている人も少なくないだろう。世界的ジャズ・ピアニスト、小曽根真のセルフ・プロデュースによるジョイフルでラグジュアリーなコンサート、『クリスマス・ジャズナイト』が、今年もBunkamuraオーチャードホールで開催される。
毎年趣向を凝らした編成と演出、プログラムで我々を楽しませてくれるこのコンサートだが、「シンフォニックジャズ モーツァルト×ガーシュウィン」と題された今回は、5年ぶりに小曽根率いるビッグバンド、No Name Horsesが登場。しかもメイン・ディッシュはピアニスト自身がビッグバンド用に編曲したモーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」とくれば、ジャズ・ファン、クラシック・ファン、双方ともに聴き逃すわけにはいかないだろう。
「これは3年ほど前、スコティッシュ・ナショナル・ジャズ・オーケストラからのオファーで書いたものです。モーツァルトとジャズをどこでミートさせるか、特に冒頭部分をどうするかで2年半ほど悩みましたが、いったん決まってしまえばあとは一気呵成に書き上げました」
2014年、スコットランドでおこなわれたその初演は大絶賛を博したが、今回は小曽根が「自分のファミリー」とまでいうNo Name Horsesでの本邦初披露。
「まるで“どこでもドア”でニューヨークとザルツブルクを目まぐるしく行き来する感覚と、ビッグバンドの男性的な艶っぽいサウンドでモーツァルトを聴くというアンバランス感を楽しんでいただきたいですね」
一方、第1部ではガーシュウィンやバンドのオリジナル曲などジャズの醍醐味が味わえるナンバーがふんだんに演奏される予定。曲目は現時点では未定だが、例年思いもよらない演出でオーディエンスを驚かせてくれる小曽根のこと、ここでもこのコンサートならではのサプライズを用意してくれるに違いない。
さらに今回はもう1つ、特にクラシック・ファンならあっと驚くトピックがある。“神様”とまでいわれるNYフィルの首席トロンボーン奏者、ジョゼフ・アレッシがバンドの一員として出演するのだ。
「NYフィルのアジア・ツアーで仲良くなって、ビッグバンドに興味があるというからダメ元でお願いしてみたんです。そうしたら年末にもかかわらずいろいろやりくりして参加してくれることになって。誘ったほうが驚いてます(笑)」
小曽根真と彼の仲間たちが贈るゴージャスなシンフォニックジャズの夕べ。このクリスマス・プレゼント、受け取らない手はない。
取材・文:藤本史昭
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

小曽根 真 クリスマス・ジャズナイト 2015
シンフォニックジャズ モーツァルト×ガーシュウィン
12/22(火)19:00 Bunkamuraオーチャードホール
問:Bunkamuraチケットセンター03-3477-9999
http://www.bunkamura.co.jp