藤岡幸夫と日本が誇る“三大テノール”
東京シティ・フィル50周年を彩る声の祝祭

左より:藤岡幸夫 ©森口ミツル/福井 敬/村上敏明/笛田博昭 ©Takafumi Ueno

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の50周年記念特別演奏会として、ニューイヤーコンサート「三大テノールの宴」が1月8日に東京文化会館で開催される。このコンサートでの三大テノールとは、福井敬、村上敏明、笛田博昭の3人。指揮は東京シティ・フィル首席客演指揮者の藤岡幸夫が務める。大ベテランから今が旬の人気者まで、日本を代表するテノールが集うこのコンサートを企画したのは、関西フィルハーモニー管弦楽団の総監督・首席指揮者を兼務する藤岡である。藤岡、福井、村上、笛田の4人が初めてコンサートに集ったのは2018年6月の「“がんばれ! 関西フィル”コンサートⅢ 三大テノールをむかえて」であった。21年3月にも関西フィルで4人の出演するコンサートが成功を収め、藤岡は東京シティ・フィルでも是非この“三大テノール”のコンサートを開催したいと考えていた。

 この日は、《アイーダ》、《リゴレット》、《トスカ》、《トゥーランドット》などヴェルディやプッチーニの傑作オペラのテノールのアリアや「カタリ・カタリ」、「ヴォラーレ」、「ウエスト・サイド・ストーリー」の〈マリア〉などお馴染みの名曲がずらりと並ぶ。藤岡は「三人は兄弟のように仲が良くて、トークもあって、めっちゃ楽しいコンサートになります。〈誰も寝てはならぬ〉や〈女心の歌〉は三人で歌いますから」と語る。東京シティ・フィルの50周年を祝う、華やかな声の饗宴が楽しみである。

文:山田治生

(ぶらあぼ2025年11月号より)

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団50周年記念特別演奏会
ニューイヤーコンサート「三大テノールの宴」
2026.1/8(木)19:00 東京文化会館
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp


山田治生 Haruo Yamada

音楽評論家。1964年、京都市生まれ。1987年慶應義塾大学経済学部卒業。雑誌や演奏会のプログラム冊子に寄稿。著書に「トスカニーニ」、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人」、「いまどきのクラシック音楽の愉しみ方 」、編著書に「戦後のオペラ」、「バロック・オペラ」、「オペラガイド」、訳書に「レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー」などがある。