
住友生命いずみホールに設置されたケーニヒ社製のオルガンをフィーチャーする名物企画「フランス・オルガン音楽の魅惑」、最新回はサン・シュルピス教会の正オルガニスト、カロル・モサコフスキを迎えて開催される。
サン・シュルピス教会は中世より続く由緒正しい教会であると同時に、パリ市内ではノートル・ダム大聖堂に次ぐ大きさを誇り、パリを代表する教会のひとつと言っていい。加えてここには華麗な音響を生み出す優れたオルガンが代々設置されてきた。現在の楽器は19世紀の高名なオルガン製作者アリスティド・カヴァイエ=コルが据えたもので、彼の作品中でもベストを争う名器として名高い。歴代の楽器の可能性を十全に引き出すべく、サン・シュルピス教会では常に時代を代表するオルガン奏者が奉職してきた。
2023年2月に前任者ダニエル・ロートの跡を継いだモサコフスキは、教会付きオルガニストを務めるかたわら、演奏家としても八面六臂の活躍を繰り広げる当代の名手である。今回のリサイタルにあたって、彼はヴィドールのオルガン交響曲第5番やフォーレの「ペレアスとメリザンド」組曲をはじめ、デュプレやクレランボーといった前任者たち、つまり歴代のサン・シュルピス教会のオルガニストたちによる作品を集めたプログラムを用意した。さらにリサイタル後半には、オルガン奏者の腕の見せ所である即興演奏が置かれる。サン・シュルピス教会の空気を現代日本に再現する試みと言ってもいいかもしれない。
文:相場ひろ
(ぶらあぼ2025年11月号より)
ミシェル・ブヴァール プロデュース フランス・オルガン音楽の魅惑 Vol.4
カロル・モサコフスキ(パイプオルガン)
2025.11/15(土)16:00 大阪/住友生命いずみホール
問:住友生命いずみホールチケットセンター06-6944-1188
https://www.izumihall.jp

