
俊英が意欲を発揮する東京オペラシティの「B→C」は、管楽器奏者の才覚が1つの魅力となっている。11月に登場するフルートの石井希衣もまた然り。1990年に生まれ、パリのエコール・ノルマル音楽院を修了した彼女は、数多の名手を輩出した神戸国際フルートコンクール第3位ほか数々の賞を受賞し、今年6月には山田和樹&モンテカルロ・フィルの演奏会(モナコ)でソリストを務めている。
今回のプログラムは、定番のバッハ「無伴奏フルート・パルティータ」、第1楽章が途中から欠落しているバッハのソナタ BWV1032を向井航が補筆しつつ自身の音楽も織りまぜて完成させた新作を経て、サーリアホ、ライヒ等有名コンテンポラリー作曲家の作品や向井響の委嘱新作に至る興味津々の内容。特に後半は、あらゆる特殊奏法、マイクや音響、エレクトロニクスを使用した作品を通して、フルートの多様性や可能性が表現される。本人も「『聴いたことがない音がする!』『こんなフルートもあるんだ!』という驚きや発見を届けられたら」と意気込む本公演。新たな音世界を体験したい方はぜひ足を運びたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2025年11月号より)
東京オペラシティ B→C 石井希衣(フルート)
2025.11/11(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp

