
新日本フィルハーモニー交響楽団が、将来を期待される若きソリストたちを迎える「新しい風」シリーズが、2曲の協奏曲によるスペシャル・コンサートとして11月に開催される。
ピアノ協奏曲を披露するのは、2024年の第12回浜松国際ピアノコンクールで日本人初優勝、そして聴衆賞・室内楽賞も併せて受賞という快挙を遂げた鈴木愛美である。鈴木はコンクールの最終ラウンドである本選で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番を演奏した。まさに彼女の勝利を決定づけたその作品を、今度はすみだトリフォニーホールの空間で響かせる。コンクールでの感動を生演奏で味わうことのできる、格別な機会となるだろう。
ヴァイオリン協奏曲では、今年5〜6月に開催された第9回仙台国際音楽コンクールのヴァイオリン部門最高位(第2位)のムン・ボハが登場する。彼女は2006年韓国生まれの19歳という俊英で、現在はアメリカのカーティス音楽院で学ぶ。今回はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を通じ、持ち前の美しい音色と確かなテクニックを存分に発揮してくれることだろう。
指揮はシンガポール出身のダレル・アン。2007年のブザンソン国際指揮者コンクールで優勝を果たし、現在は四川交響楽団の芸術監督および首席指揮者として活躍する注目のマエストロが、ソリストとオーケストラの輝きを最大限に引き出す。次世代を担うアーティストたちの情熱と才能が結集する特別なコンサートで、名曲の新たな息吹を感じよう。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年10月号より)
新日本フィルハーモニー交響楽団 “新しい風”スペシャル・コンサート~チャリティーコンサート~
2025.11/16(日)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィルチケットボックス03-5610-3815
https://www.njp.or.jp

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。


