東京都交響楽団 「作曲家の肖像」シリーズ Vol.104 イギリス

期待の俊英が披露する自国の傑作

エドワード・ガードナー ©Benjamin Ealoveg
エドワード・ガードナー ©Benjamin Ealoveg

 サイモン・ラトルやダニエル・ハーディングといった先例が物語るように、イギリスからは時おり20歳そこそこで注目を集め、キャリアを積み上げていくヤング・マエストロが出現する。1974年生まれのエドワード・ガードナーも、その列に名を連ねる一人だろう。2007年からイングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督を務め、一方ではバーミンガム市交響楽団の首席客演指揮者として活躍。15年の秋からはアンドルー・リットンの後任としてベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団(ノルウェー)の首席指揮者に就任する俊英だ。11年には栄誉ある「プロムス・ラスト・ナイト」の指揮者として全世界に知られることとなり、近年はCHANDOSレーベルから次々にCDをリリースして日本でも知名度を上げている。
 しかし来日は10年1月にN響へ客演したのみ。そのためイギリスの作曲家をテーマにした都響の「作曲家の肖像」は、貴重な来日公演となる。プログラムは彼がもっとも得意とする作曲家の一人、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」と、ホルストの名曲「惑星」。ガードナーを知る2曲であると同時にイギリス音楽入門にも最適な2曲であり、さらには楽員のソロイスティックな妙技も含め、都響の機能的なアンサンブルを堪能できる2曲。同国には指揮の先達として「ガーディナー」がいるが、「ガードナー」の名前と音楽も、ぜひ覚えてください。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年8月号から)

8/2(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:都響ガイド03-3822-0727
http://www.tmso.or.jp