3年に一度開催され、世界的なピアニストを数多く輩出してきた浜松国際ピアノコンクール。2027年に第13回の開催が予定されているが、小川典子の後任として審査委員長にピアニストの児玉桃が就任することが5月26日、発表された。児玉は昨年11月の第12回大会で審査員を務めていた。

児玉桃は、大阪生まれ。幼少期をヨーロッパで過ごし、14歳の若さでパリ国立高等音楽院に入学。マレイ・ペライア、アンドラーシュ・シフ、タチアナ・ニコラエワらに師事。1991年のミュンヘン国際コンクールでは、最年少で最高位を獲得し、世界的に名を知られるようになった。ソロ・リサイタルや姉・児玉麻里とのデュオのほか、現代音楽に積極的に取り組み、特に細川俊夫作品の初演を手掛けていることでも知られる。ケント・ナガノ指揮ベルリン・フィル、小澤征爾指揮ボストン響、シャルル・デュトワ指揮N響など、世界の主要オーケストラとの共演も多い。
教育者として後進の指導にも力を注ぎ、現在は、カールスルーエ音楽大学で教授。ブリュッセルで開催中のエリザベート王妃国際音楽コンクールで審査員を務めているほか、今年10月のショパン国際ピアノコンクールでも17名の審査員に名を連ねるなど、国際コンクールでの審査実績も多数。パリ在住。
初代審査委員長の安川加壽子から小林仁を経て、中村紘子、海老彰子、小川典子と女性ピアニストが多くバトンをつないできた浜松国際ピアノコンクール。新体制のもとで、審査委員の顔ぶれがどうなるのかも注目される。
文:編集部
就任にあたってのコメント
第13回浜松国際ピアノコンクールの審査委員長に選任されたことは、とても光栄であるとともに感慨深く思っています。1991年の創設以来、世界で最も権威のあるコンクールの一つになっていますし、2024年に審査員を務めた際の、日本の伝統といえるおもてなしの心、恵まれた出会い、厳格な運営と、コンテスタントと審査員のために準備された並外れた歓迎を懐かしく思い出すからです。このコンクールは、世界中の若い才能が最高のレベルで選ばれるための、真の跳躍台です。
コンクールが開催される特別な期間に、日本国内および海外からの聴衆の方々がますます増えているのは最高の成果で、浜松市は一年を通じて音楽が盛んで活気にあふれていることを考えると、このようなイベントが開催されることも不思議ではありません。またこれらはすべて、主催者とボランティアの献身と情熱なしには実現できなかったでしょう。私は彼らのさらなる成功を心から祈っていますし、2027年のコンクールで彼らとともに重責を果たすことを喜び、誇りに思っています。
音楽の偉大な歴史の中で、素晴らしい才能の発見に貢献できることを願いつつ。
児玉 桃
(提供:浜松市文化振興財団)
■第13回浜松国際ピアノコンクール 開催概要
開催期日 : 2027年11月
会場 : アクトシティ浜松(静岡県浜松市中央区板屋町111番地の1)
主催 : 浜松市、公益財団法人浜松市文化振興財団
https://www.hipic.jp