柚希礼音が新たな壁に挑戦
『ウエスト・サイド・ストーリー』『屋根の上のヴァイオリン弾き』『キャバレー』『オペラ座の怪人』など、綺羅星の如きブロードウェイ・ミュージカル作品を、プロデューサー&演出家として生み出してきた男、ハロルド・プリンス。彼の人生を、彼が創ってきた名曲の数々で描く『プリンス・オブ・ブロードウェイ』が、世界に先駆けて日本で上演されることになり、6月17日、都内で制作発表記者会見が行われた。
取材・文:藤本真由(舞台評論家) 撮影:J.otsuka/TokyoMDE
最初に、出演者であるシュラー・ヘンズリーとケイリー・アン・ヴォーヒーズが作品からの歌を披露。共にブロードウェイで活躍するスターとあって、声量たっぷりにドラマティックな歌唱を聴かせ、公演への期待をかきたてる。
続いて、演出のプリンス、共同演出・振付のスーザン・ストローマン、そして日本から唯一出演する元宝塚歌劇団星組トップスターの柚希礼音が登場。プリンスの“声”として声だけの出演を果たす市村正親もサプライズで姿を見せた。
「自分がブロードウェイで生きてきたこの60年間は、ミュージカルという芸術形態が大きく変化を遂げてきた時期。ロックやR&Bといった音楽が登場、よりシリアスな題材を扱うことができるようになり、観客も国際的になった。偉大な伝統を継承していくと共に、幅広い観客と分かち合っていく姿勢が大事」とプリンス。「ニューヨークの劇場で仕事をしている人間は誰でもハロルドに影響を受けている。彼が劇場文化を変え、大きく成長させた。彼の劇場での人生を祝福できることがうれしいし、とても楽しい作品が生まれると思う」と、ブロードウェイで活躍するストローマンも賛辞を惜しまない。
これが宝塚退団後初めての舞台となる柚希は、「夢のような話ですが、夢ではなく現実なので、稽古を積み、英語も勉強し、最終的には言葉を超えて心で伝えられるよう頑張りたい。不安がいっぱいですし、挑戦すぎるお仕事かなとも思いましたが、安泰の道を選ばず、宝塚時代より高い壁に思いきりぶつかっていきたい」と抱負を。「彼女の舞台映像をインターネットで見たが、歌と踊りがパワフルで、技術も存在感もすばらしい。彼女からインスピレーションを受けて振付できることが楽しみ」とストローマンも太鼓判。ブロードウェイに憧れる少女“レオン”として踊りまくる場面など活躍の場面もある。ブロードウェイ・ミュージカルの魅力と可能性を存分に伝える作品となることが期待できる、この秋注目のプロダクションだ。
【公演情報】
ワールドプレミアムミュージカル
『プリンス・オブ・ブロードウェイ』
10月23日(金)〜11月22日(日) 東急シアターオーブ
11月28日(土)〜12月10日(木) 梅田芸術劇場メインホール
演出:ハロルド・プリンス
共同演出・振付:スーザン・ストローマン
出演:ラミン・カリムルー、柚希礼音、シュラー・ヘンズリー、ケイリー・アン・ヴォーヒーズ
エミリー・スキナー、ナンシー・オペル、マリアンド・トーレス/市村正親(プリンス役声の出演) 他
料金:SS17,000円 S14,000円 A10,000円 B7,000円
一般発売:7月25日(土)
問:梅田芸術劇場 0570-077-039(東京)06-6377-3800(大阪)
http://pobjp.com/