
右:小山実稚恵(c)Hideki Otsuka
高関健を常任指揮者に迎えてから10年、そして楽団創立50周年という節目を迎えて、意欲的なプログラミングが目立つ東京シティ・フィル。今シーズン、マーラーは特に大切にしている作曲家で、若者を意識したサマーミューザで交響曲第1番を取り上げることにも、深い意味が感じられる。『巨人』というタイトルで知られるこの作品で描かれているのは、思春期特有の苦悩と葛藤と喜びであり、自然と人間の深い結びつきにほかならない。前半で演奏されるベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』は、ダイナミックな箇所のみならず、たとえば第2楽章で小山実稚恵のピアノの精魂こめた弱音がどのような祈りの詩情を醸し出すかにも注目したい。
文:林田直樹

【Information】
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
「皇帝」×「巨人」クラシックの大家たち
2025.7/27(日)15:00 ミューザ川崎シンフォニーホール
(14:00開場/14:20~プレトーク)
指揮:高関健(東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 常任指揮者)
ピアノ:小山実稚恵
プログラム
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 op.73 『皇帝』
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調『巨人』
●ホール座席券
S席 | A席 | B席 | |
一般 | 6,000円 | 5,000円 | 4,000円 |
友の会 | 5,400円 | 4,500円 | 3,600円 |
U25(小学生以上25歳以下):各席半額
※U25割引はミューザ川崎シンフォニーホールおよびチケットぴあで購入できます。
※未就学のお子さまはご入場いただけません。
*詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
問:ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200
https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/calendar/detail.php?id=4416
特集:フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2025
川崎の夏を彩るオーケストラの祭典が今年もやってくる!ホスト・オーケストラの東京交響楽団をはじめとする首都圏の10団体に加え、九州交響楽団が初登場。計11のオーケストラが日替わりで熱き競演をくり広げる。注目の指揮者陣には、東響の音楽監督として最後の出演となるジョナサン・ノット、東京シティ・フィル常任指揮者の高関健、神奈川フィル音楽監督の沼尻竜典、新日本フィルの前音楽監督・上岡敏之、日本フィルを指揮する下野竜也と名匠たちが揃う。一方、九響の若き首席指揮者・太田弦をはじめ、出口大地、熊倉優、松本宗利音(しゅうりひと)、小林資典(もとのり)とフレッシュな顔ぶれも。「サマーナイト・ジャズ」、歌とオルガンで楽しむ「真夏のバッハ」、小川典子がライフワークとする「イッツ・ア・ピアノワールド」など恒例企画ももちろん健在。熱い夏の到来が待ちきれない!