天羽明惠(ソプラノ)

午後のひと時を声の饗宴でお楽しみください

©Akira Muto
©Akira Muto
「1時間の枠の中に凝縮したプログラム。遊びに来る感覚で楽しんでください」
 リリックな美声と繊細なコロラトゥーラの技巧でファンを魅了する天羽明惠。5年目を迎えたサントリーホールの初夏の室内楽シリーズ『チェンバーミュージック・ガーデン』で、「ENJOY! ウィークエンド」2公演に出演する。選りすぐりのアーティストの演奏をお得な価格で楽しめる、週末の昼間のコンサート。しかもワン・ドリンク・チケット付きだ。
「ブルーローズ(小ホール)のステージと客席を横に配置して使用するのも特徴です。お客様と演奏者の距離が近いので、息づかいが直接感じられるほどの一体感が生まれますし、演奏者を真横から見るというのも面白い体験になるのではないでしょうか」
 天羽は1993年に発足した「サントリーホール・オペラ・アカデミー」の第1期生。現在はその指導スタッフも務めている。Vol.2「美声のシャワー」と銘打った公演は、野田ヒロ子(ソプラノ)、今尾滋、櫻田亮(以上テノール)、古藤田みゆき(ピアノ)ら、アカデミーの仲間たちによる歌曲とアリアのプログラムだ。
「アカデミーは、お互いが自分の声を聴いてくれる信頼できる“耳”を持とうという意識で、20年以上続いています。家族のように仲良しでもあり、厳しくもあり、お互いの方向を確認できる場所です。今回は4人がそれぞれ歌いたい曲を自由に選んだので、幅広い多彩な曲目を聴いていただけます。私はモーツァルトを選びました。モーツァルトって、全部の音がきれいじゃないと成立しないんです。いかにピュアで良い音を出せるか、室内楽アカデミーの若い人たちと一緒に作り上げられたらと思います」
 そしてVol.4「精彩放つ音のファンタジー」では、打楽器の安江佐和子との共演。
「音や音楽に対する彼女の姿勢は素晴らしくて、いつも刺激を受けています。今回は安江さんからご指名いただき、曲目もすべて彼女が選んだものです。杉山洋一さん編曲の『朧月夜』はハーモニーの移り変わりがあまりにも美しく、送られてきた楽譜を見た時、興奮してメールしちゃいました(笑)。安江さん作曲の新曲もどうぞお楽しみに。声を、旋律線ではなくちょっと違った形で扱う作品になるはずです。実は私、現代ものも大好きです。50年後、100年後の歴史に残るかもしれない音楽が誕生する瞬間に立ち会えるなんて貴重ですよ」
 気軽に出かけられるお昼のコンサートながら、充実の中身。どちらも実に聴きごたえありそうだ。
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)

サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン
ENJOY! ウィークエンド
Vol.2 6/12(金)14:30 美声のシャワー〜華麗なる歌曲とアリアの万感交錯
Vol.4 6/19(金)11:00 精彩放つ音のファンタジー〜歌心溢れるパーカッション
サントリーホール ブルーローズ(小)
問 サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
※チェンバーミュージック・ガーデンの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://suntory.jp/HALL