ノットと彼が音楽監督を務める東京交響楽団のベートーヴェンのリリースは、2020年の「第九」に続く第2弾となる。今作は第6番「田園」と第1番のカップリングでどちらもライブ録音(別日収録)。「田園」は各セクションが室内楽のように精細で瑞々しい響きを聴かせ、光り輝くような演奏に第1楽章からすっかり心を掴まれる。颯爽とした推進力と柔和さを持つノットの音楽作りには、躍動的な舞曲的要素が光り感動的だ。「田園」で期待値を高められた後に聴く第1番も格別で、まるで全奏者の音を見通しよく聴き出せるような鮮やかな演奏。物理メディアで持っておきたい録音作品だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年5月号より)
【information】
SACD『ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」&第1番/ジョナサン・ノット&東響』
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」、同第1番
ジョナサン・ノット(指揮)
東京交響楽団
収録:2019年7月、ミューザ川崎シンフォニーホール&2023年11月、サントリーホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00876 ¥3850(税込)