『吉田都×堀内元 Ballet for the Future』トークイベントレポート

 今や日本人が海外のバレエ団で活躍するのは珍しくなくなったが、日本人として初めて世界最高峰のバレエ団のプリンシパルとして活躍した吉田都と堀内元が<Ballet for the Future>と題した公演を8月に金沢と東京で行う。6月6日、Chacottダンスキューブ勝どきで、両氏出席のもとトークイベントを開催。ふだん聞けない貴重なエピソードが披露され大盛況だった。
取材・文:渡辺真弓 Photo:J.Otsuka/TokyoMDE

 略歴を紹介すると、共にローザンヌ賞の受賞者。吉田は84年英国サドラーズ・ウェルズ・ロイヤル・バレエ(現バーミンガム・ロイヤル・バレエ)に入団。88年プリンシパルとなり、95年英国ロイヤル・バレエに移籍し、2010年までプリンシパルとして活躍。一方、堀内は1982年、ニューヨーク・シティ・バレエに入団、その後アジア人初のプリンシパルに昇格。2000年からセントルイス・バレエ芸術監督に就任、団員26名、学校生徒350名のバレエ団へと発展させた。
 こうした豊かな経験を次代へ伝えたいという願いから今回の公演は企画された。「ここ5年間兵庫県で<堀内元バレエUSA>の公演を行い、都さんにも13年から参加していただいた。アメリカで作った良い作品を踊って日本人ダンサーに成長してほしい。一人でも多くのお客様に観ていただきたい」と堀内。一方吉田は、「今の年齢で挑戦できる作品を選んで踊っている。元さんの作品を踊ると、私自身解放されもう少し踊っていきたいという気持ちになれる」と意欲のほどを語った。

吉田都
吉田都

 10代のジュニア時代から東京新聞の全国舞踊コンクールなどで切磋琢磨してきた間柄。海外に出ても互いの活躍が励みになったという。吉田が「一番辛かったのは才能の違いを見せつけられる環境。ピーター・ライトとの出会いがあって今の自分がある」と語れば、堀内は「僕らが行ったときはFAXもない時代。文化の違いになじむのが大変だった。僕をアメリカに残してくれたのはバランシン」と振り返る。
 
堀内元
堀内元

 「コンクールに挑戦するのは素晴らしいことだが、そこからがスタート。とにかく基礎を大切に」(吉田)、「今回の公演のオーディションでは適応性のある人を求める」(堀内)と若いダンサーたちへ激励のメッセージも。 
 両氏が共演するのは堀内振付『La Vie』(2013年セントルイス初演)。 息の合った舞台が期待される。
 


 

 


◆『吉田都×堀内元 Ballet for the Future』

8月25日(火)18:30 本多の森ホール
8月27日(木)18:30 ゆうぽうとホール
上演予定時間:約2時間(休憩含む)

■特別ゲスト:吉田都(元英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
■芸術監督・出演:堀内元(セントルイス・バレエ芸術監督、元ニューヨーク・シティ・バレエプリンシパル)
■ゲスト:加治屋百合子(ヒューストン・バレエプリンシパル)
     ジャレッド・マシューズ
    (ヒューストン・バレエファーストソリスト)
■出演:飯島望未(ヒューストン・バレエソリスト)
    森ティファニー(セントルイス・バレエ)
    岡田兼宜、上村崇人(セントルイス・バレエ)
    末原雅広 他(50音順)

【公演プログラム(予定)】
「Valse Fantaisie」振付:ジョージ・バランシン
「Pandora’s Box」振付:クリストファー・ダンボア
「Elliptique」振付:堀内元
「ドン・キホーテ」第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ 
 出演:加治屋百合子、ジャレッド・マシューズ  
「Attitude」振付:堀内元 
「La Vie」振付:堀内元 出演:吉田都 堀内元 他

【料金】
金沢:S7,800円 A6,300円 B席4,800円
東京:S9,720円 A8,100円 B6,480円 C4,860円

【発売】
一般発売:6月12日(金)
イープラス座席選択先行:5月27日(水)〜6月11日(木)18:00

【問い合わせ】
北國新聞文化センター076-260-3535(金沢)
チケットスペース 03-3234-9999(東京)

【特設HP】http://www.chacott-jp.com/j/special/ticket/bff/index.html
※最新情報は上記のウェブサイトでご確認ください