金沢21世紀美術館 アーティスト・イン・レジデンス 『Museum × KNZ Fringe〜街と、人と、出会う』

新しいアートが人と人をつなぐ

 金沢21世紀美術館は、美術館ながらダンスなど舞台芸術にも活発に取り組んできた。とくにレジデンスには積極的だったが、今回はさらに一歩進み、海外のアーティストと、金沢のアーティスト、ディレクター、ボランティア等との交流を踏まえたクリエイションを行う。そのため全体を2段階にしてあるという。第1期は6月で、リサーチや交流といった相互理解を深める時期。第2期は9月から10月にかけて創作に取りかかる。それぞれ約2週間ずつたっぷりと時間を費やし、最終的には新作を10月10日、11日に上演をする。
 今回来日するのは、数々の刺激的な作品を上演しているイギリスのアーティスト主導型コミュニティ『フォレスト・フリンジ』 から選出された3組のアーティストたち(写真)。ときに街のポップカルチャーを、ときに環境や自然をテーマに、演劇的であったりキャバレーのようなスタイルにしたりと変幻自在だ。そんな彼らが金沢の歴史と伝統、そして最先端の美術館と出会う。
 基本的にはアーティスト主導だが、「作品には金沢の要素が生きていること」「地元金沢の住民の協力者を得ること」等が「リクエスト」される。地元との触れあいが重要だからだ。
 同館では、今回の開催を皮切りにこうした「アーティスト主導のレジデンス」を継続していくという。外国人アーティストがいわば触媒となり、金沢に点在する様々なアーティスト・コミュニティが協働することも狙いだ。金沢21世紀美術館は、単に美術品を展示するのではなく、新しいアートが生まれる場所として、人と人をつなげていくのである。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年6月号から)

アーティスト・イン・レジデンス期間
第1期 6/8(月)〜6/22(月) ※一部一般公開あり 
第2期 9/26(土)〜10/12(月・祝)
新作公演 10/10(土)、10/11(日) 金沢市内各会場
問 金沢21世紀美術館交流課076-220-2811 
http://www.kanazawa21.jp