この夏、家族連れで本格的な舞台芸術に気軽に親しめるチャンスがやってくる。新国立劇場が6月〜7月に行う3公演は、一流キャスト・スタッフが贈る話題作ぞろいだ。4月6日、合同制作発表会が行われた。
第1弾は森山開次の新作ダンス『サーカス』。しなやかな踊りとイマジネーションあふれる舞台が人気の森山は、NHK教育テレビ「からだであそぼ」などへの出演を通して、こどもたちと交流する機会も多い。今回は近年の代表作『LIVE BONE』シリーズで協働する音楽の川瀬浩介、美術・衣裳のひびのこづえも加わってのクリエーションとなる。小劇場に客席を対面式に設置することによって不思議空間が生まれそうだ。森山が抱負を語る。
「タイトルはサーカスですが、あくまでもダンスの公演です。アイディアを出しあいながらダンスという表現を通してできるサーカスを目指したい。こどもから大人まで楽しんでもらえるような作品を創りたいと思います」
同じく小劇場で上演される演劇『かがみのかなたはたなかのなかに』は鬼才・長塚圭史が作・演出する新作で「鏡」を題材にしたファンタジー。長塚と近藤良平、首藤康之、松たか子という2012年の『音のいない世界で』と同じ顔ぶれが2年半ぶりに再結集する。演劇・舞踊界屈指の豪華実力派を束ねる長塚は意欲を述べた。
「シンプルに大人とこどもに楽しんでもらえる作品にしたい。夏ということもあるので、ちょっとゾクリとするような部分も入れて創りたいなと。前回は良平さんも首藤さんもほとんど踊らなかったのですが、今回は動いてもらいます(笑)」
こどものためのバレエ劇場は昨年に続きオペラパレスで開催。『シンデレラ』(監修:牧阿佐美、振付:小倉佐知子)は、よく知られた物語とプロコフィエフの名曲を生かしながらコンパクトにまとめている。最大の魅力は通常のバレエ公演同様に新国立劇場バレエ団のトップ・ダンサーが日替わりで主演すること。こどもたちに上質な舞台に触れてほしいという心意気が強く感じられる。シンデレラ役を踊る小野絢子がアピールした。
「全幕のストーリーがしっかりと楽しめるように凝縮されています。美しい音楽、物語、踊り、美術…クラシック・バレエの醍醐味を味わえる作品なので、お楽しみに!」
今回は「夏のこども劇場セット」として3公演または2公演のセット券を発売。新国立劇場でしか観られない魅惑の舞台を、お子様とご一緒に味わってみてはいかがだろうか。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)
森山開次『サーカス』6/20(土)〜6/28(日) 新国立劇場(小)
『かがみのかなたはたなかのなかに』7/6(月)〜7/26(日) 新国立劇場(小)
こどものためのバレエ劇場『シンデレラ』7/22(水)〜7/25(土) 新国立劇場 オペラパレス
※詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/kodomo2015