あなたの周りに、「バレエにはなんとなく興味はあるんだけど、でも…」と重い腰のあがらない人はいないだろうか。そんな彼らを誘うなら、牧阿佐美バレヱ団が幅広い観客に劇場に足を運んでほしいと企画したこの公演はどうだろう。バレエの多彩な魅力が一夜にして味わえるだけでなく、男性ヴォーカルグループの声も楽しめる、新しい感覚の公演だ。
第1部では、厳格なクラシックバレエの様式性で魅せる、華やかで祝祭性に溢れる 「ライモンダ」第3幕を上演。異国情緒も盛り込まれた色彩豊かな音楽は、グラズノフによる。 叙情性豊かで、甘く美しい旋律とバレエの華麗なる融合だ。
第2部は歌曲とバレエの共演。LE VELVETS(ル ヴェルヴェッツ)は、テノールとバリトンで構成された男性5人のヴォーカル・グループ。メンバーにはバレエ経験者もいるという。人気レパートリーを、艶やかな歌声でたっぷりと聴かせてくれるほか、芸術監督三谷恭三の振付によるバレエと、新しいステージを作り上げる。バレエとヴォーカル、それぞれが刺激しあうことで、どんな化学反応が生まれるのだろうか。
そして第3部は現代のバレエ。ラヴェルの「ボレロ」に、ザルツブルクバレエ団芸術監督ピーター・ブロイヤーが振付けた作品が日本初演される。2002年に初演され、各地で上演された本作、今回は通常よりもダンサーの数を増やし、スケールアップしての上演となる。
16年に創立60周年を迎える牧阿佐美バレヱ団。60周年をひとつの節目に、さらに進化していこうとするカンパニーの新たな挑戦に期待したい。
文:守山実花
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年5月号から)
5/30(土)18:00、5/31(日)15:00 文京シビックホール
問:牧阿佐美バレヱ団公演事務局0570-03-2222
http://www.ambt.jp