太田弦&アレクサンダー・ガジェヴ――2人の若き才能がブラームスで共鳴する

左:太田 弦 ©ai ueda
右:アレクサンダー・ガジェヴ ©Andrej Grilc

 新日本フィルハーモニー交響楽団が、広く愛される名曲を中心に届けるマチネのコンサート・シリーズ「すみだクラシックへの扉」。今回のプログラムは、ドイツ音楽の情熱的かつシリアスな表情、そして爆発的なエネルギーとを聴かせる演目だ。前半はブラームスのピアノ協奏曲第1番ニ短調、そして後半はベートーヴェンの交響曲第5番「運命」である。

 本公演でタクトをとるのは若手実力派の指揮者、太田弦だ。2015年の東京国際音楽コンクール〈指揮〉第2位・聴衆賞を受賞以来、国内主要オーケストラから期待と信頼を寄せられ、端正かつみずみずしい音楽創りで人気を集める。そして協奏曲のソリストは、21年のショパン国際ピアノコンクール第2位および聴衆賞で飛躍的に知名度を高めたイタリア生まれのピアニスト、アレクサンダー・ガジェヴである。新日本フィルの公演には初登場となる。

 太田とガジェヴは同い年で、ともに1994年生まれ、30歳を迎えるアーティストだ。太田が2015年に東京国際音楽コンクール〈指揮〉で注目を集めたその年、ガジェヴは浜松国際ピアノコンクールで優勝を飾り、日本および世界にその名を知らしめた。同時期に音楽家として一つのターニングポイントを迎えた二人が、若き日のブラームスによる熱量たっぷりの協奏曲で、どのように意気投合し、重厚な音楽を聴かせてくれるのか、非常に楽しみだ。そして何度聴いてもその革新性に胸を打たれる「運命」にも、じっくりと耳を傾けたい。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2025年1月号より)

太田 弦(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団
すみだクラシックへの扉 第29回
2025.3/14(金)、3/15(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp