ヨーロッパの聴衆を魅了するピアニスト中川優芽花の“今”を聴く

©Susanne Diesner

 ドイツのデュッセルドルフで生まれ育ち、同地のロベルト・シューマン音楽大学のジュニアコースや、ロンドンのパーセル音楽院で学んだのち、ワイマールのフランツ・リスト音楽大学で研鑽を積む中川優芽花。2021年、19歳の若さでクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝したことを機に注目を集め、特別な存在感とともに日本でも活動の場を広げているピアニストだ。

 彼女が今回リサイタルで演奏するのは、ソナタを中心とした抒情性豊かな作品ばかり。モーツァルトのピアノ・ソナタK.576とシューベルトの「さすらい人幻想曲」というオーストリア系作曲家、ショパンの「葬送ソナタ」、そしてショパンから多大な影響を受けたことで知られるスクリャービンの初期作品から第2番の「幻想ソナタ」という、作品同士の有機的な繋がりが感じられるプログラム。日本人離れした自由かつ柔らかな感性、クリアで美しい音色が生かされることだろう。2001年生まれ、更なる飛躍が期待される俊英の今の音楽を聴いておこう。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2025年1月号より)

第554回日経ミューズサロン 中川優芽花 ピアノ・リサイタル
2025.1/15(水)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
https://art.nikkei.com