銀座の王子ホールが月イチで開催している人気企画「銀座ぶらっと」シリーズは、ランチ終わりや買い物ついでに気軽に寄れるコンサート。出演者は毎回、名手揃いだ。記念すべき第200回には日本が世界に誇る当代随一のホルン奏者・福川伸陽が、信頼を寄せるピアニストの岡田奏とのデュオで出演する。
前半は「ハンガリー狂詩曲第2番」、外山雄三が日本各地の民謡をまとめた名曲「管弦楽のためのラプソディ」のホルン版、「ラプソディ・イン・ブルー」と、お馴染みのメロディばかりなのにホルンで聴くのは意外で新鮮というユニークな選曲。ホルンという楽器の常識を覆してしまうようなヴィルトゥオーゾ(巨匠)である福川の妙技が堪能できる。
後半は、福川のために書き下ろされた語りつきの作品「源平音楽絵巻」だ。作曲した挾間美帆はグラミー賞にノミネートされる等、本場アメリカでも高い評価を得ているジャズ作曲家だが、実は彼女にとって作曲家を目指した原点のひとつは大河ドラマだった(今も大河ドラマの音楽を手掛けることが夢なのだという!)。源平合戦という題材も挾間の提案で、「平治の乱」から「壇ノ浦の戦い」までの8つのエピソードを語りで繋ぎながら50分かけて描く大曲だ! 今回は元フジテレビアナウンサーの近藤サトが語りを務めることで、まるで本物の大河ドラマのような重厚な物語が堪能できるに違いない。全編聴きどころだらけといって過言ではない傑作なので、自信をもってお薦めしたい。
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2024年10月号より)
銀座ぶらっとプレミアム #200 福川伸陽(ホルン)
2024.11/14(木)13:30 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
https://www.ojihall.jp